
水平線からお日様が昇る頃には、せっせとジグをしゃくっていた。
「昨日は口惜しい思いをしたからね。今日は頑張るよ」
稲用さんと並んで、ジグをしゃくる。
北西の風が吹いているが、北東からの波長の長い大きなウネリは連日のこと。
ベイト反応は、出たり出なかったりと安定性は余り無い。
それでも「もしかしたら、この辺りならベイト反応があるかも」と、予測して流すコースを決める。
潮は、上り潮が流れているが、濁りが入っている。
上り潮で濁った潮、こんな状況の中で、ひたすらジグをしゃくる。
釣り始めて1時間ほど過ぎた頃、私にアタリが来た。
最初のアタリは、ググッと重みが竿に乗った感じだ。
「走りますか」
「いや、ドラッグは出ないね」

上がってきたのは、1キロ超のカンパチがダブルヒットしていた。
「久し振りのカンパチダブルや」
昨日は、逃げられてばかりだったので、少しだけホッとした気持ちだ。
今度は、稲用さんにアタリが来た。

「重いけど、走りませんね」
ゆっくりと巻き上げていくと、ピンク色した魚影が見えてきた。
55センチの良型真鯛が、上がってきた。

同じベイトを3度流しては、移動していく。
次のベイトを探すが、なかなか思うように出てこない。
「古い魚礁の回りを見てみましょう」
数本のベイト柱が出てきた。
「やってみましょう」
ジグを落とすと、直ぐにアタリが来た。
上がってきたのは、私の身長(175センチ)ほどのアカヤガラ。
「今日は、帰ってもらいましょう」と、直ぐに放流。
この直後に、私にアタリが来た。
「青物の走りに似ているね」
上がってきたのは、1.5キロ程のハガツオ。
「ハガツオが来た。嬉しい」
稲用さんにも、アタリが来た。


上がってきたのは、良型のイトヨリダイだった。
暫くすると、又しても私にアタリが来た。
最初の突っ込みは青物を想像させたが、途中から竿先が叩き始めた。
上がってきたのは、雄の真鯛。

57センチの良型だ。
この時に、沖から潮目が入ってきた。
その潮目の中に入って、仕掛けを落としてみた。
なかなか着底が取れない。
「潮が速いでね」
「潮速が2.7ノットある。釣りにならんね」
直ぐに、移動する。
丁度、満潮の潮止まりになっていた。
1時間ほどは、アタリが出ない時間が続く。
干潮の潮が動き出して、直ぐにアタリが来た。
私と稲用さんと、同時にヒットするダブルヒットになった。

稲用さんは、2キロ近いハガツオ。
私には、1.5キロ程のカンパチが来た。
「同時ヒットは、楽しいし気持ちがいいね」
と、笑顔になる。
しかし、潮が動き始めたと思ったら、南風も強くなり始めた。
ラストにしようかと、ベイトを探して仕掛けを投入。
稲用さんに、強烈なアタリが来た。
竿先が、海面に向かって突っ込む。
すると獲物は、そのまま瀬に入ってしまった。
私にもアタリが来た。
1キロほどの、キジハタが来た。

稲用さんの獲物は、瀬に入ったまま出てこない。
暫く待っていると「あっ…」針が外れてしまった。
「あー、口惜しい…」
もう少し粘っていたかったが、南風に白波が立ち始めた。
「残念だけど、今日は帰ろう」
昨日に続いて、口惜しい思いを残して帰港した。