昔々、富山の薬屋さんが1年に、1、2度、薬をしょって我が家に来てくれていました。これだけでは、お若い方は何のことかわかりませんよね。
「置き薬」です。玄関先に薬屋のおじさんが来て大きな風呂敷をとくと、何段か入れ子になった柳行李に入った沢山の薬が現れます。
薬を家庭に置いて行って、使った分だけ後で清算するこのシステムは、結構昔からあったようで、江戸時代小説で読んだ記憶があります。
そして、薬屋さんは帰る時、必ず「紙風船」をおまけに置いて行ってくれたのです。キュ-ブ状のちょっと大きめのその紙風船には、わらべ歌や、だるまさんの絵などが描かれいた記憶が。
この紙風船が嬉しくて、子供心に薬屋さんが来た日の思い出は色濃く残っています。
こんなことを思い出したのは、先日、秋田で立ち寄ったレトロなカフェでランチをした時のことです。古い時計や生活雑貨が配置された空間がとても素敵で、大好きな昭和のあの時代の「私」にワープしたのでした。
優しい時間の優しい物たち。
私は、頭のてっぺんからつま先まで「昭和人」です。