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クーロンの法則は憶えなくてよい?

2021-05-04 20:24:23 | 電験2種への遠い道のり
電験3種を受けようとして電磁気から入る人は最初にクーロンの法則を憶えるんじゃないでしょうか?

しかし、電圧・電界・電荷・電束とはいかなるものかを理解していればクーロンの法則は必然の産物だということに気づけます。

q【C】の電荷から出る電束はq本です。これは周囲に電荷がなければ均等に広がっていきます。
1【m^2】あたりを貫く電束の数を電束密度と言います。

では、電荷からr【m】離れた場所の電束密度はどうなるでしょうか?
半径rの球体の表面積は4πr^2ですからq/4πr^2【q/m^2】となります。
電束密度と電界強度の関係はD=εEと定義されますから、点電荷による電界強度の公式E=q/4πεr^2【V/m】が出てきます。
電界中で電荷が受ける力はF=qEですから、二つの電荷による力の公式クーロンの法則が導かれるわけです。

複数の電荷による電界や力は他の電荷を排除した時に現れる電界や力のベクトル和になるわけです。

ある場所に働く電界強度は「一意に」決まります。つまり計算上の手法や基準点などに関係なく電界強度は一意に決まっているわけです。
物質の中には電子などの荷電粒子があって電子は原子核にやはりクーロンの法則に元ずく力に拘束されています。強い電界によってその電子の拘束を引っ剥がすような力が加われば物質は電子を放出してイオン化します。そうなるとあちこちで原子核から引っ剥がされた電子は電界によって受ける力によって大きな電流を流します。これが絶縁破壊と呼ばれる状態です。

電気主任技術者になってやるべきことの一つと言えば、人体や設備がこのようにして大電流を流してポックリとか施設の破壊をしないために日常的に管理するあるいは設計段階でそんなことにならないようにあらかじめ設備の能力を決めておくことがあげられます。

物質が許容できる電界強度には限りがあります。一度破壊されると許容できる電界強度が極度に下がるのが一般的ですが中には酸化亜鉛のように元に戻るものもあります。



実務をかじっておられる方ならこんな設備を拝んだことがありませんか?
これはアレスタとか避雷器と呼ばれるもので雷などの大きな電圧が送電線を伝って入ってきたときに、一定の電界強度に達すると大電流をアースに流し込んで設備に大きな電圧が加わることを防いでいるものです。これの何が優れているかと言えば、一定以上の電界を許容しないだけじゃなくって、大電流を流した後に元に戻るということです。大抵の絶縁物質は一度大電流を流して絶縁破壊を起こすと後は電気通通の状態になってしまいます。まぁ真っ黒こげなんてこともあります。
こんな説明は時期尚早と言われるかもしれませんが、電界というものを感覚的にイメージすることは実務上何をすべきかということもおのずと浮かぶことになります。

次回は電界やクーロンの法則について過去問から演習してみましょう。


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