アメリカを訪れていたウクライナのゼレンスキ―大統領とトランプ大統領が「大統領執務室」で行ったトランプ流のショータイムは不発に終わった。
50分ほどを報道陣を招き入れたウクライナ戦争停戦についての「公開交渉」だったが、ゼレンスキ―大統領はアメリカのこれまでの軍事援助に対する見返りとしての鉱物資源開発計画について、ついに応じることはなかった。
トランプ大統領の交渉案は、ウクライナの地下資源の50%をアメリカ側が保有し開発するという「利権案」だったのだが、ゼレンスキ―大統領としてはまずはロシア側が停戦合意し、ウクライナ東部の占領地域から引き揚げるのが先だと考えている。
もしその停戦案がないままにアメリカへのこの権益を認めてしまうと、プーチンロシアがそのまま居座る可能性が高く、そうなったら国土は失うは地下資源はアメリカに言いようにされるは、で、ウクライナにとっては踏んだり蹴ったりになる。
ウクライナにとっては全く呑める案ではない。当然のことだ。
東部4州を占領しているということを口実に、プーチンは間違いなく「ロシアが東部4州を実効支配しているから、停戦後に帰す必要はない」との盗っ人猛々しき屁理屈を持ち出すだろう。
トランプはその考えを認めるに決まっている。よく分からないがプーチンに顔を売っておきたいのだ。或いはプーチンとの「密約」があるのかもしれない。
とにかく戦争を仕掛けて来たのはロシアのプーチンであることは、明々白々の事実であるから、この戦争を止めさせるのに最も必要なのは、ロシアが侵略したウクライナ東部4州をウクライナに返還することだ。
ゼレンスキ―大統領のことを「アメリカに援助してもらいながら礼を失している」「停戦交渉のお願いに来るのにTシャツ姿ではアメリカ大統領に対して失礼ではないか」などと揶揄するような発言も飛び出していた。
最後までゼレンスキ―大統領がアメリカ案を呑まないことを理解したトランプ大統領は怒りを露わにし始め、ついには大統領執務室から出て行くよう「命じ」た。
トランプ流の高飛車な自己中交渉は、残念ながらうまく行かなかった。「顔に泥を塗られた」と思ったに違いない。結局はプーチンの「鉄面皮」にしてやられたのだが・・・。
残念トランプ、頑張れゼレンスキー。