旧国分市(霧島市)の上野原遺跡にある展示施設「上野原縄文の森」が10月5日にリニューアルオープンした。
上野原は旧国分市が開発しようとしていた工業団地で、開発前の事前発掘調査によって見つかった縄文時代早期の遺跡が見つかった。私は平成9(1997)年の春にあった説明会に出かけたのを覚えている。
何しろ古い遺跡で、南九州ではどこでも普通に堆積している「鬼界カルデラ」由来の「アカホヤ火山灰」の下に目を見張るような遺物が眠っていた。
平底で角型の薄手の土器群や「縄文の壺」まで出土したことで一躍有名になった。
また住居跡の遺構が多数出土したのも驚きで、日本全国を見渡しても定住の分かる最も古い遺跡である。
鬼界カルデラの噴出は火山学によって約7400年前と確定されており、その火山灰層の下からであるから少なくとも8000年前の遺跡ということになった。
この年代でも十分に古いのだが、最近になってさらにその1500年ほど前ということが分かった。
そのため展示遺物や遺構の年代全体をさかのぼらせる必要があり、約8か月かけて展示替えを行っていたのだが、昨日(10月5日)にリニューアルオープンしたのだ。
長さ15mはあろうかという壁一面に、手前から13000年前の最古の縄文土器「隆帯文土器」から1000年から2000年を単位としてそれぞれの時代を代表する南九州の縄文時代の土器群がずらりと展示されているが、圧巻である。
一部に弥生時代の美しい壺があったりしたが、基本的に館内はすべて縄文時代の遺物展示に限っていて、南九州の縄文時代がいかに先進的で多様性に富んでいたかを中心のテーマとしている。
北の縄文文化が世界遺産(北海道・北東北地域)になったが、上野原遺跡はじめ南九州の縄文文化もそれに引けを取らない。遺物では角型の土器や壺型土器などは国内のみならず、世界中に比肩するものはない。しかも古い。
是非とも世界遺産に挙げて欲しいものだ。
孫を連れて行ったが、満更でもなさそうだ。気分は縄文人!
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