ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

俳句にも〝盲点〟って?

2021年08月02日 | 俳句

 今朝も5時過ぎに起床…見ると地面が濡れています。すると主人が、夕べも雷がスゴかったぞと。そういえばその前の日もスゴいこと雨が降って雷が鳴り響き、あれはきっと近くのどこかに落ちた音だったとも言っていたっけ…

 私は何も知らずに…どちらも寝ていました。(笑) 暢気なものです。でも何にしても私にとってはとっても嬉しいこと。だって植木鉢に水やりしなくても済みますものね。

 さて、昨日は朝から「俳人協会山口県支部」の役員会で防府へ出掛けていました。昨年がコロナ禍で中止でしたので、今年はできれば開催の方向で考えたいが、ダメなときは昨年と同じような形にすると。その最終的な決定は9月上旬にということになりました。

 実施するに関しては、講師などの手配や会場の準備などは昨年のものをそのまま移行させて行ないますので、その点は楽なのですが、感染防止対策に万全の注意を払わなければいけません。それが大変です。

 でも、今年もまた中止ということになりますと、だんだんやる気を失っていきそうで…もうそろそろいい加減にとも思いますが、コロナの感染者はこちらでも増えてきていますからどうなりますことやら…心配なことです。

 ところで、前回〝盲点〟のことを書きましたが、俳句にも盲点があるようですよ。要するに言葉の盲点が…。自分ではこれで完璧に伝わるとか、分かってもらえると思っていることが結構あるんですよね。では、その話を一つ…

 先日の句会の兼題は〝汗拭ひ〟でした。その中に〈急ぎ足の汗を拭ひてバスを待つ〉という句がありました。

 この〝汗拭ひ〟という季語は、汗を拭くことではなく、汗拭き即ちハンカチのことなんです。汗を拭くと使うときには〝汗〟が季語になりますからね。これは盲点というより勘違いと言った方がいいかも。

 また他に、どっちつかずの微妙な句もありました。例えば〈汗拭ひ畳みて仕舞ふポケットに〉という句。作者は汗拭ひのつもりで詠んでいるので、何の疑いも持っていないようでしたが、これは〝汗を拭って〟の意味にもとらねかねません。俳句をしている人でも若い人などは汗拭いがハンカチだとは知らない人も随分多いんですから。

 せめて〈ポケットに畳みて仕舞ふ汗拭ひ〉と入れ替えると、少しはいいかとも思いましたが、それでも〝汗を拭って〟と間違われやすそう。そこでちょっとアレンジして、〈ポケットに仕舞ふ汗拭き砂払ひ〉としてみたんです。まあ、前の句よりは間違われにくくなったとは思うのですが…。やっぱりまだイマイチですよね。

 実は〝汗拭ひ〟や〝汗拭き〟〝汗手拭(あせてぬぐい)〟などは、どうしても古くさいイメージが付いてきます。だから最近は〝ハンカチ〟を使うことが多いのですが、現代ではハンカチはエチケットとして常時持っているものでしょう。季語としてはやはり〝汗〟の字が入る〝汗拭ひ〟の方が夏らしいと思われるのかも知れませんね。

 ではこの句を、〈ポケットに仕舞ふハンカチ砂払ひ〉とすればいいかというと、また新たな問題が出てきます。確かにハンカチを使うと間違われないし洒落たイメージにも変るのですが、今度は片仮名が多すぎてちょっと目障り。また〈仕舞ふ〉となれば、普通男性ならポケット、女性ならハンドバックですよね。ならばいっそのことポケットを省略して、〈ハンカチの砂を払ひて仕舞ひけり〉とでもしてみましょうか。そうすればいろんな想像が出来ませんか。ちなみにこの作者は男性。だとすると、浜辺へ二人で行って彼女にハンカチを敷いて坐らせてあげた…なんてことも想像することができるでしょう。

 こんなドラマのようなことを考えたりすることが出来ると思うと、ほら、俳句って楽しいでしょう。五七五の言葉で、まるで絵を描くように、物語を創作するように頭の中で自由に遊ぶことも出来るんですよ。何処かに出掛けて行かなくても家の中でも、あなたの空想の世界は限りなくどこまででも広がりますよ。

 さあ、あなたも俳句を始めてみませんか?

 写真は、我家の〝ヒペリカム〟です。ちょっと時期を過ぎてしまいましたが、このヒペリカムはオトギリソウ属オトギリソウ科に所属する多年草です。6~7月頃にかけて、5枚の花弁を持つ、鮮やかなイエローの花を咲かせます。しかし、切り花などで利用されるヒペリカムは、花よりも赤や濃いピンク色の実を鑑賞して楽しむのが一般的で、花束やアレンジメントの良いアクセントになります。

  


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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (信州人)
2021-08-02 23:17:36
ちわき様こんばんは。

いつもコメントを返して下さりまして、こちらこそ、恐縮しております。
コロナとはしばらく共生していくことになりそうなので、密を避けて、マスク、そしてワクチンで踏ん張るしかないですよねえ。
そのように考える人は意外に多いかとおもいます。
マスコミも過剰に騒ぎ立てて、ちょっと辟易です。

〝汗拭ひ〟これは自分のような初心者なら、引っかかりますよ(笑)
しかし、歳時記をよく読んでみますと、日本の夏に欠かせぬ小物でありました。江戸時代の頃から、
「青色と一つ色なり汗拭い」(一茶)おしゃれな句ですねえ。
オリンピック観戦で一句です。歌舞伎も寄席もライブがいいです、で、今を読みまして
汗拭ひ放る手決勝はじまりぬ

しかし、ちわき様、さーっと文章(結構な字数)を書いておられ、いつも驚いております。
返信する
Unknown (信州人)
2021-08-02 23:20:01
すみません、二重投稿になりました。
削除してくださいませ。
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Unknown (ちわき)
2021-08-03 08:44:35
信州人さん、お早うございます。
日本人って結構辛抱強い人が多いように思います。それに事なかれ主義かな…いうなら長いものには巻かれて生きる術を覚えてしまったからでしょうか。それが国土性であり、島国根性なのかも。
特に、昭和の一桁の人は本当に辛抱強い人が多い…もっというなら昔の封建時代の人はもっとだったでしょうね。
夏の季語って、殆ど冷房のない時代のものですから…ある意味私たち年代のものには懐かしいものばかりなんですが、信州人さん達の年代ではどうなんでしょうね。
最近また恰好だけのハンカチよりも実用の汗拭きタオル…というよりタオルハンカチでいろいろ出回っていますもの。
〈汗拭ひ放る手決勝はじまりぬ〉…
段々コツが掴めてきましたか?
今目の前にその景が浮かぶように…そして、そこに普遍性のものが加われば過去をも包含するという…そういうように詠めればもっといい。
この句では〈放る手〉がイマイチかな。考えてみて…(^0^)
返信する
古語 死語 (風の盆)
2021-08-03 11:35:19
俳句とは落語みたいなものかな
古典落語は昔長屋で使っていた品物が出てくる

>この〝汗拭ひ〟という季語は、汗を拭くことではなく、汗拭き即ちハンカチのことなんです。
ハンカチか
そう言えばハンカチという木があったな
あれは樹木であるが花が咲く

ハンカチ王子がいた
誰が間づけたか知らないが、爽やかな印象であった
プロに入って、片方の北海道の男は眼を出したが、早実出のハンカチ王子は出てこない
もう一人の打者、清宮も出てこないな

手ぬぐい、昔は、てぬぐいだったな
腰にぶら下げて
今は素材も違うだろうがタオルと言うと

返信を入れて置いた
盲点は眼眼
勘違いも思い込みもあるが、五木寛之でさえ、若い頃あんなに行った風月堂、風の中は虫だったか

誰しも見えないことはある
物忘れはあるな
そして物忘れを思い出すと気持ちが良いな
返信する
 (風の盆)
2021-08-03 11:38:16
風の中は
白 だったか
返信する
 (風の盆)
2021-08-03 12:27:43
何度も何度もスマン
白でなく百だったわ

教える立場だと、添削、修正が上手いんだな
屋根の雨漏りなぞは、修正が難しいが
水彩画も油絵と違って修正が難しい
俳句は修正すると生きてくるな
返信する
推敲の二句 (信州人)
2021-08-03 23:32:09
ちわき様。こんばんは。
今日も五輪、素晴らしい戦いです。

〈放る手〉ああ、自分が主であったときは〈握る手〉であったのです。
そのうちに選手のタオルが気になり、選手が放ったと読んでしまいました。
汗拭ひ握る手決勝はじまりぬ
選手が主人公なら
汗拭ひ握る手をまたラケットへ

今日はずっと俳句の主語を考えていました。
おいおい、仕事は(笑)俳句へどっぷりとなってきましたよ。
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Unknown (グライセン)
2021-08-04 05:30:22
勉強になりました。
返信する
Unknown (ちわき)
2021-08-04 08:13:48
風の盆さん、お早うございます!
ハンカチの木も花で夏の季語なんですよ。写真で見て不思議な花だなと…本物が見たくって植物園で見ました。
でも咲いていないときには分かりませんから…本当に自然界には不思議が満ちていて、興味が尽きませんね。
ハンカチ王子も懐かしい!でもマークンと比べられて…どっちがよかったかなんて?結果をみても…本人からすればどうなんでしょうか。
早くから騒がれ持てはやされて…あとは鳴かず飛ばずがいいか…それとも全く知られなかったのが突然開花して驚かれる大器晩成型がいいか…人生いろいろですね。
今回の柔道の選手にもそんな人がいましたっけ…
内田百閒も…知らないときは間の間違いではと思ったことがありましたが、そんな思い込みは結構ありますね。
〈俳句は修正すると生きてくるな〉…
この修正に初心で抵抗感を持つような人って割といますね。
先日も10年自己流でやってきて、独り善がりな句が多くって…10年が勿体ないように思いましたが…もう今更受入れられないと…ザンネンに思いました。
私もそうでしたが、先生に直されると自分の俳句ではないような気がして…
しかし、習うということはそんなものかと…そうしなければ独り善がりの句ばかりしか出来ないと…そう気が付けばいいのですが。
要するに修正は結果ではなくて過程だと思えば、その先からが自分の勉強なんですけどね。
お花や俳画も、先生が一手加えただけで見違えるように生きることもありますし…まあ、これもいろいろ…です。
返信する
Unknown (ちわき)
2021-08-04 08:32:17
信州人さん、お早うございます。
嬉しいコメント…でも、ミイラ取りがミイラにならないで…
俳句には何となく言葉のマジック的なところがあって、そういう言葉の微妙な使い方に出逢うと、〝目から鱗〟と…
特に長年知的な分野で活躍されて、ある意味博覧強記な人が始めて俳句に出逢ったりすると、嵌まりますね。
信州人さんもそうなのかしら?
でも仕事あってのことですからね。
俳句の〝主語〟…いいところに気がつかれました。その通り、俳句は一人称の文学と言われていますので、何もなくても作者が主語になる場合が多いのです。だから違い場合はそこをきちんと把握して詠まないと、読者は作者のこととして受けとりますので?になるのですよ。
ついでにもう一つ、〈握る〉も〈放る〉も〈手〉が要らないということ。〈汗拭ひ握る決勝始まると〉
〈汗拭ひ放りラケット握りしむ〉
では、いかが…
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