私にとって月末の1週間はいつも地獄!先延ばしにしているものが溜まりまくって、締切りというピンチに追い込まれるんです…。だからブログに割く時間も無くなるし、フォロー様の記事にも目を通すことが遅れ遅れになって…失礼をしています。ゴメンナサイ!
でも、私もブログあまり空けすぎずにちょっとでもいいから書いておかないと、忘れられそう…。
それでは、今日は何にしましょうか。そうだ、先日の句会に次のような句がありましたので、それについて書きましょう。〈黙々と枝豆食べり夜の更けて〉という句。俳句としての良し悪しは別にして、皆さんはこの句の間違いがすぐに分かりますか?
この間違いは、初心者…いや中堅どころでも結構ありますよ。日本人なら日々日本語を使っているのですから、改めて文法など考えたりしませんよね。ところが、俳句を始めた途端に文法が立ちふさがるのです。それも口語文法ではなくて文語文法が。
この文語文法、恐らくどなたでも高校時代に習った覚えがあるでしょう。が、余程のことがない限りそれ以後使うということがなくて、殆どの人は忘れています。それが俳句を始めるとすぐに必要になるので、慌てて勉強するも戸惑うばかり…。だから俳句を始めた頃に良く言われました。〝いいわねえ。国語の先生なら文法はお手の物でしょう〟と。確かにその方面に携わってない方からすると、多少は違うでしょうが、教えるのと自分で使って表現するのとでは大違い。やはり勉強し直さないと、そうそう〝お手の物〟という訳にはいかないのですよ。この表現はおかしいのでは…ということはいち早く気がつきますが、じゃあどこがどうおかしいのか、どう直せばいいのかなどということは、しっかり調べてからでないと断言できません。だから私も俳句を始めて、いい勉強をさせてもらいました。まさに日々勉強するのみ…でしたよ。(^0^)
さて、この前出の句、どこがおかしいかというと〈食べり〉です。すぐに気がつかれたと思うのですが、じゃあどこがどうおかしいのか?
「食べる」は口語で、文語でいうと「食ぶ」という下二段活用の動詞になります。その未然形・連用形が「食べ」。それに「り」という完了の助動詞が接続しているのです。ところが、この「り」という助動詞は四段活用の已然形・サ変活用の未然形(四段・サ変の命令形に付くとする説もある)だけに接続するのです。もうお分かりでしょうか。下二段活用の「食ぶ」には付かないということが。
ちなみに、前出の句の季語は「枝豆」で秋。〝ものも言わずに黙ってただ枝豆を食べている。それも夜更けに…〟という意味でしょう。難しい言葉はありませんから一応意味は通じます。だからそれでいいというのではありませんからね。間違いは正さなくては…ね!
じゃあどうするか?そういうときは同じ完了の助動詞「たり」を使う。すると「たり」は連用形に接続するので「食べたり」となる。そこでまた問題発生です…8音になるので字余りと。さあ、どうしましょうか。
「食べる」という語は、そもそも敬語ですから上品ですが、もとは「食う」です。これだったら四段活用で「り」が使えますので、「食へり」でOK!
このように「食う」はちょっと下品だからと、「食べる」を使って文法を間違うより、正しく表現した方がいい。ちなみに俳句ではできるだけ必要がなければ敬語は使いませんので、気をつけましょう。上品ぶって「お茶」とか「お味噌汁」などと言わずに「茶」「味噌汁」でいいんです。いやそれの方が却っていいんですよ。これも俳句の作句法としては大切なことですので覚えておきましょう。
写真は、〝秋明菊〟シュウメイギク、〝貴船菊〟キブネギクとも。晩秋の季語です。桃色は先に咲きましたが、白がやっと咲きました。やっぱり何だかおかしいですね。この白の裏がほんのりと薄紅に…これが魅力的!