とうとう5月も終わり…「五月尽」です。
子を呼べば妻が来てをり五月尽 加藤楸邨
このような句を鑑賞するのはとても難しいですね。これがこうでなくてはという確固なる理由があるわけではないのですが、要するに〝何となくいい〟という感じです。でもよく考えてみれば、やはりここは「四月尽」でも「六月尽」でもなく、この「五月尽」でないといけないような気がします。また、私の歳時記を調べてみましたが、「四月尽」「六月尽」の例句はありませんでした。
それはこの〝五月が終る〟という季語には、他の月にはない何らかの感懐があるからなのでしょう。きっとそれは風薫る爽やかな五月が終ってしまい、これからしばらくは鬱陶しい梅雨の候に入るという気持ちが起こさせるもの…いうならば〝端午の節句〟や〝子供の日〟〝ゴールデンウィーク〟などといった心待ちにした行事が終ってしまったという一種の気抜けしたような感じをいうのかもしれません。
要するに作者にとっては、〝ああ、五月も終ってしまったなあ~〟と実感したことが、読者にも共感を呼ぶかどうかということ。そこに鑑賞のポイントがあるのですから、それもまた個々人の人生からすればみな違うでしょうし…。だからこの句は「子を呼んだのに妻が来た…」というナントモいえない苦笑いのようなものが見え、あの難解派と言われた楸邨にしてはホッとするような句。だからなのか、わたしたち凡人(笑)にとっては心和む句だと思ったのですが、いかがでしょう?
今日はちょっと気になるところがあって、市の特定がん検診に行って来ました。結果は1週間後らしいので…それまでオアズケです。
写真はツルニチニチソウで、これはまだ季語にはなっていません。(キョウチクトウ科の常緑蔓性植物の一種。ツルギキョウともいうが、キキョウ科にツルギキョウという植物があり、キキョウ科のものが標準和名のツルギキョウである。Wikipedia)