2019年12月16日のブログ記事一覧-漢方相談　昌栄薬品

渡辺武著　わかりやすい漢方薬より

女性一人は男性の十人分　アダムとイヴの話ではありませんが、この世に人間が創造された時から、女性は男性とは違っています。

よく小さい女の子がお母さんに｢どうして女の子にはおチンチンがないの｣とたずねます。

お母さんはどう答えていいのか困ってしまいますが、よく考えてみると、幼児はその時から女性と男性が違っていることにはっきり気づいているわけです。

　女性と男性との違いは、女性は子孫を繁殖する受胎、出産という大目的を持っていることです。

もっと具体的にいえば、女性はある年齢に達すると、月経がはじまります。

男性に月経がある人は、この世にはいません。

いたら怪物ということになるでしょう。

この女性だけにある月経、受胎、出産という行為は、決定的に女性が男性と違っていることです。

男性が赤ん坊を生んだ話は、有史以来聞いたことがありませんし、あったら歴史的大事件ということになります。

　漢方では、古い唐の時代から人間は出生からはじまり老化現象で終息するまでの序列があり、病気や薬の処方はその序列によって分類されていますが、そもそも何から始まっているのかとなると、乳幼児から始まって少年少女になり、青年から壯年、老人が順序ですが、さてその乳幼児はどこからはじまったかとなると、鶏と卵の関係と同じで、鶏が先か卵が先かということになります。

昔から女性は太陽などといわれますが、漢方では女性からはじまっているのです。

唐の時代から漢方の古い医薬の本は、まず太陽である女性、婦人科からはじまっているのです。

　『備急千金要方』という漢方処方の名方を集めた本があります。

唐の政府が名医を集めて刊行した漢方の名著です。

この本は、婦人科から紐解いていますが、その中に「十人の男子を治するとも、一人の女性を療するなかれ」と、女性の病を治療することのむずかしさを説いているのです。

　男性と違って、女性は非常に神経過敏で細かく、男性にない月経という出血があり、受胎、出産ということがあります。

同じ病人を扱うのに男性だったら一人で十人も扱えるのに、女性は一人扱うのに十人分ぐらいかかってしまうということです。

それだけ女性は扱いにくいから敬遠しがちです。

人間は女性からはじまっています。

女性が解決できれば人間を療することができるというわけで、千金要方は、まず婦人科から始まっています。

　女性は神経が過敏であり、気が小さく、細かいことに気を使います、ということは、気の道ということであり、同時に毎月一度出血するという血の道の二重の問題を背負っているのです。

だから漢方の世界では初めに気・血・水という分類があり、気剤とか血剤という薬を持っています。