渡辺武著わかりやすい漢方薬
第二章漢方薬はどう診断するか
２ 氣のやまい(気毒症―気滞証)
男性が女性化する時
ここが肝腎かなめ心をひきしめて・・・・というとき、「臍下丹田に力をいれて」といいます。
臍下とはへその下、丹田もやはりへその下の下腹部、ここに力を入れると心がしまり、勇気りんりん身体に満ちてくるというわけです。
ところが、もし、そのへその下に全然力が入らなくなったら、というのがこの項でのお話です。
漢方ではへその下に力が入らない状態を〝臍下軟〟といっています。
この現象は疲労、老化、性的退化などの、いわゆる過労状態におちいって気持も消極的になり、ファイトをなくしているときに起ります。
このときは、力が入らないだけでなく、そのすぐ下を指でおさえてみると、やわらかく、おまけにそこがまるで心臓のように、動悸まで打っています。この動悸を〝臍下悸〟といいます。
いまから三年ほど前、私は山陰地方の有名な陶芸家Ｍ氏を訪ねました。
Ｍ氏は六十数歳で創作活動もやめ、隠居をしていました。
「腹に力が入らないし、よく風邪をひくし、疲れやすく、気力もなくなった」ということでした。
私はＭ氏にもう一度立派な仕事をしていたがきたいと思って、『八味腎気丸』をおすすめしたのですが、それから一ヵ月ほどのちにお訪ねすると、数年ぶりで創作を始められて、見違えるように気力のあふれた姿でした。
Ｍ氏はその後も創作を続け、人間国宝になられました。
臍下軟、臍下悸は腎臓と副腎機能が減退している現象です。
へその下の動悸は、弱っている腎臓と副腎へ血液がどんどん送られているからです。
そのために上半身への血行が少なくなって、視力や鼻、耳の感覚器官の衰えがあらわれ、気力がなくなったり、物忘れをしやすくなってくるのです。
また同時に夜中に小便に起きたり、足が弱って疲れやすく、男性は中足まで弱体化してきます。
これらはすべて過労、老化現象です。
八味腎気丸は、こんな症状を改善し増血をはかり、血行をよくする作用をもっています。
また弛緩した筋肉を奮い起させる生薬も加味されており、全身的な働きで、過労、老化を防ぐ強力な漢方薬です。
男性の腎臓や腎機能が減退するのは、腎機能に血液を多量に使っているからです。
男性特有の頭に血液が回らなくなるのですから、男性が女性と同じ機能になって、だんだんに女性化してくることになるのです。
しかし、人間の正常な状態は、頭寒足熱と漢方では言っています。
つまり、通常の女性の身体状態が正常だということです。
男性は絶えず頭をカッカさせているのですから、もっと頭を冷やさない以上は、女性より長生きはできないわけです。
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八味腎気丸は別名八味丸、八味地黄丸と言います
腎気＝腎が蔵する精、とくに生殖能力・生殖器官の発育成熟をつかさどる精気。
腎気＝じんき。
①腎精の化生の気で、腎臓の機能活動、もしくは成長・発育および性機能の活動をさす。
＜素問上古天真論・そもんじょうこてんしんろん＞「女子は七歳にて、腎気盛ん、歯更り、髪長す。・・・・・丈夫は、八歳にて、腎気実し、髪長し、歯更る。二八にて、腎気盛ん、天癸至り、精気溢れ瀉し、陰陽和す。故によく子あり、・・・・・。」
＜霊枢脈度篇＞「腎気は耳に通ず。腎和するときは、耳よく五音を聞く。」
②大横穴の別名。 漢方用語大辞典
腎蔵の働きは耳と関係があります。
老化＝おしっこちょろちょろ、耳が遠くなり、腰が曲がる
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一 第六節－女 七歳 平成21年(2009年) 9月23日
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一 第六節－女十四歳 平成21年(2009年) 9月24日
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一 第六節－女二十一歳平成21年(2009年) 9月25日
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一 第六節－女二十八歳平成21年(2009年) 9月26日
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一 第六節－女三十五歳平成21年(2009年) 9月27日
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一 第六節－女四十二歳平成21年(2009年) 9月28日
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一 第六節－女四十九歳平成21年(2009年) 9月29日
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一 第七節－男 八歳 平成21年(2009年) 9月30日
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一 第七節－男 十六歳平成21年(2009年)10月1日
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一 第七節男二四歳三二歳平成21年(2009年)10月2日
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一第七節男四十四八五六歳平成21年(2009年)10月3日
黄帝内経素問 上古天真論篇 第一 第七節 男六十四歳平成21年(2009年)10月4日
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