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<福岡海保>渡船転落の男性、2日後救助 泳いで無人島へ
福岡海上保安部は29日朝、福岡市沖の博多湾の無人島・端島(はしま)で福岡市東区の会社員男性(53)を救助した。男性は2日前に市営渡船から海に転落し、泳いで端島に渡りついていたとみられる。男性にけがはないという。(毎日新聞)
落水者本人は遊覧船に乗りたかったようだし、ほろ酔い気分でもあったようだ。しかしなぜ渡船は乗船者と降船者の数を確認しなかったのだろう。
落水者の責任ばかり問題にされるが、海に落ちるということはものすごい孤独感と戦うことになる。たしかにみだりに席を移動すると重心位置が狂い燃料を食う。それが半端ではない。一日で数十万円はすぐ違ってくる。僕の船はいらないものは何もないが各自乗員が自分の位置を決めたら自動で船の水平がとられる。だから動いてはいかんのだ。
航海中、公海上では船長に裁判権と警察権がある。だから命令に従わないと海に落とす。公海上では勝手に位置を変えると全員が危ない。出航前に必ず注意する。それを破ったら仕方がない。
今回の落水者を出した渡船は大型になったのでそこまで神経は使わない。
天候が変わるときは一度も潜ってない時でもそのまま帰る。
海で死ぬのは溺れて死ぬ人もいるだろう。低体温もいるだろう。でもそれらは例外だ。寂しさで死ぬ。帰港するより海が荒れるのがはやかったことがある。そんなにいつも正しい判断は無理だ。僕自身吐くのをやっとこらえた。船長が吐いたらシャレにならんだろう。
ゲロの中で僕は天に誓った。どうぞ僕からエロ本を取り上げてください。エロビデオは二度と借りません。やることばかり考えて人生を過ごしません。・・・
だから死ぬのは構わないからここで死ぬのだけは嫌です。何とかここで殺さないでください。・・・
海はさみしさで死ぬ。孤独に打ち勝った人だけが生きる。まるで人生だ。僕は海の孤独には到底勝てない。灯台島の周囲は浅いので船は警戒してあまり通らない。運よく遊漁船に見つけてもらったが、酔っ払いが島にたどり着き助けられただけの話では決してない。
3時間、3日・・・漂流者の死ぬ時だ。だからこそ、この3の倍数を乗り越えよと漁師さんから習った。
志賀島の島陰にはいるとピタッと静かになった。