
知人に招待戴き、アルテオーパでhr交響楽団のベートーベンの交響曲第五番とエグモントを聴いてきました。
この日のマエストロはまだ40代の若手フランス人指揮者の、ベルトラン・ド・ビリー(Bertrand de Billy)で、おっとりした見た目からは想像できない情熱的な指揮者でした。
さて演目のエグモントですが、オペラのような劇音楽で、フランクフルトが生んだ文豪ゲーテの戯曲エグモントに、ベートーベンがオーケストラとソプラノの歌をつけたもの。
序曲とソプラノの歌曲を含む9楽章からなり、劇の物語をナレーターがドイツ語で語るというスタイルは初めてで、ワーグナーへと続くドイツオペラの原型を聴いているみたいでとても新鮮でした。
(hr交響楽団に所属するドイツ人演奏家の知人に演奏終了後挨拶に行った際、彼もこのようなスタイルは初めてだと語っていました)
そしてもう1曲は世界で最も有名な交響曲の1つである、日本では「運命」の通称で知られる、ベートーベンの交響曲第五番でした。
実は自分が生まれて初めて小学生高学年の時にお年玉で買ったレコード(時代を感じます)の1枚が、ベートーベンの運命だったこともあり、何か不思議な縁のようなものを感じましたが、この日聴いた演奏はドイツのオーケストラらしく重厚で、とても素晴らしいものでした。
この交響曲第5番にまつわるエピソードして、1808年12月にウィーンで「田園」の通称で知られる交響曲第6番と一緒に初演された際、先に田園が交響曲第五番として演奏され、運命は第六番として初演されたのだとか。
その後現在のように運命が交響曲第5番、田園が第6番となっています。
(実はクラシック音楽では、初演時の「世に出た番号」が、後に作曲順等の別の番号に変わることが時々あり、その他の例としてはドヴォルザークの交響曲第9番新世界より(初演時は第五番で呼ばれる)等があります)
コンサート終了後に、知人に花束を持って会いにいったのですが、ちょうど指揮者のベルトラン・ド・ビリー氏に楽屋廊下でばったりとお会いし、挨拶できたのですが、知人向けの花束しか持っておらず、ご自身に会いに来たファンかと一瞬思われた節があり、オケに知人がおりまして、、、と花束を渡さずそのまま立ち去る時に、かなり気まずかったです。(苦笑)
フランス人なのにベートーベン?と演奏を聴く前は思っていたのですが、演奏を聴いて「ベートーベンの交響曲第五番と六番に定評のある指揮者」という評判は偽り無しでした。
まだ40代と指揮者としてはこれからの人なので、20年後位に同氏が巨匠と呼ばれるようになった時に、この日の気まずかったエピソードが良い思い出になっていたらいいなと、そんなことを自宅へ向かうUバーン(地下鉄)の中で考えていました。