用語の用い方は組織や職業、個人の経験、専門性などによって異なることがあるが、一般に用いられる用法は、共通認識として知っておくに越したことはない。公的な機関で使われる代表的な用語の利用についてご紹介したい。
「場合」、「とき」、「時」
「場合」と「とき」は、仮定的な条件を示す用語で使われ、一般には意味に区別をつけずに、その時々の語感によって用いられる。仮定の条件が二つ重なる場合は大きいほうの条件には「場合」を、小さいほうの条件には「とき」を用いる。「時」は、時点又は時間が問題になる場合にだけ用いる。
「又は」、「若しくは」
いずれも選択を表す接続詞で、並列的な関連にある二つの事柄を列挙するときに用いる。
日常用語としては用法上の差はないが、法令用語としては、単純・並列的な選択的接続の場合は「又は」を用い、この選択的接続の段階が複雑で二段階になる場合は、小さいほうの接続に「若しくは」を用い、大きいほうの接続に「又は」を用いている。
「及び」、「並びに」
いずれも併合を表す接続詞で、法令上では、「又は」の使用と同様に普通に用いるのは「及び」である。この併合的接続が二段階になる場合は、小さい方の接続に「及び」を用い、大きい方の接続に「並びに」を用いる。「及び」・「並びに」は、上に述べた物事に、同じ条件にあるものをさらに付け加えることを表す。
「者」、「物」、「もの」
人、法人を通じ、法律上の人格を有するものの単数又は複数を表す場合には「者」を用い、ある行為とか利益等の主体となるものが、人、法人以外の権力能力のない社団・財団である場合、及びそういう人格のない団体と人格を持つ人、法人両方を含んでいる場合は「もの」を用いる。外界の一部を形作っている物件(存在すると考えられるすべて、物事一般、見たり、触れたり出来る具体的な形を持っている物質)を表す場合は「物」を用いる。語感上、「物」ではふさわしくない場合は「もの」を用いる例も多い。(次回へ続きます)