「直ちに」、「速やかに」、「遅滞なく」
「直ちに」はこの三つのうち、時間的にいって最も即時性が強く、「何をおいても今すぐに」という場合に多く用いられる。「遅滞なく」は時間的には即時性は強いが、正当な、又は合理的な理由による遅滞は許されている。「速やかに」は訓示的な意味に用いられ、これに対する違反が義務を怠ったものとして直ちに違法ということにはならないというような場合に用いられることが多い。
「改正する」、「改める」
ある法令を改正する場合、その法令全体をとらえて、その全部又は一部を改めるときには「改正する」を用い、その法令の中の個々の条項を改めるときは「改める」を用いる。
「削除」、「削る」
「削る」は、対象となった語句なり、条項なりが、全くあとかたもなく削り去られることを意味し、「削除」は、対象となった条なり号なりが、「第○条 削除」又は「第○号 削除」という形で後に残ることを意味して用いられている。
「以上」、「以下」、「越える」、「未満」
一定数量を基準として、その基準を含んでそれより多いという場合は「以上」を、その基準量を含まずにそれより多いという場合は「越える」を用い、一定数量を基準としてその基準数量を含んで、それより少ない場合には「以下」を、その基準数量を含まずにそれより少ないという場合には「未満」を用いる。
「以前」と「前」、「以後」と「後」、「以内」と「内」
一定の基準点に対する時間的前後を表す言葉であるが、その基準点を含んで、その前又は後ろへの時間的広がりを表す場合は「以前」、「以後」、「以内」を、基準点を含まない場合は「前」、「後」、「内」を用いる。
(このシリーズ最終回です)