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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

技術の政治利用

2017年01月17日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 豊洲市場の地下水をモニタリングする汚染物質の異常値については、小池都知事が就任してからの第8回目及び今回の第9回目で、検出があってはならないヒ素、シアン物質のほか、ベンゼンに至っては環境基準の79倍もの数値が示された。従来は環境基準値を下回る調査結果が続いたが、どうも測定業者の違いや、過去の検査管理の統一性等に疑問が向けられている。杜撰な測定や、管理の在り方にまで疑問が投げかけられる現状は、まさに技術を生業とする専門家の資質までも疑問視されるマスコミの在り方に違和感を持っている一人である。

 

 実態把握については当事者ではないため、個別に調査するわけにはいかないが、マスコミが作り出そうとする善人悪人のレッテル張りはいつの時代でも勧善懲悪の形に仕立てられ、問題の解決の程遠い場所で作り上げられる陰謀や、策略のるつぼとなり、間違った方向に面白おかしく脚色する輩の餌食と化す。先導者たちは決まって、都民の健康や、食の安全を口では叫び続けるが、意図をもって計画した当時の政治家へは矛先が向かわず、調査を真摯に行う調査員や分析に従事する専門家へ向けられるのはいかがなものか、その政治家を選んだ都民はどう責任をとるのか、まさに天に向かって唾を吐くがごとき、投票した自分へ帰るのである。

 

 都知事に立候補し当選したといっても、万能の神を選んだのではない。学級委員長を選ぶに等しく、いうなれば人気投票の部類であり、詳細に亙る全権委任ではないのである。知事などの職責を勘違いした結果は退任後の生き様を見ればよく分かるはずである。

 

 小池都知事も大人気ないというか、自分がタッチしていなかった時代のこととして、他人事を決めつけているが、力量がある政治家ならば、議員の時代に同じ党出身者であった前知事へ何を具申してきたのか、同じ出身母体がいまさら知らぬ存ぜぬはないであろうと思うが、いかがなものであろうか。

 

 ことの成り行きは振出しに戻ってしまった。全力を投入した過去の治世を評価せず、なし崩しにしていくやり方は前猪瀬都知事と同様、何も作りえない単なる批評家に過ぎない。小池都知事も当初は威勢が良かったが、最近は荷が重すぎるように感じる。お手並みを拝見する時間的余裕もなくなりつつある。既にレームダックであり、チェックメイトでないことを願っている。