川湯温泉街では、
ノリウツギの花が目立つようになってきました。
北海道では 「サビタ」と呼ばれることもある樹木です。
私個人的には、北海道で暮らし始めるようになってから知った「サビタ」という呼び方のほうが、
好きです…(笑)
川湯園地の中に、
釧路出身の作家・原田康子さんのベストセラー著作
「挽歌」の一節を刻んだ碑が建っています。
映画にもなったこの作品の中で、
ここ川湯温泉が「K温泉」として登場していることによるものですが、
もう一つ、
「K温泉」を舞台に繰り広げられる原田作品があります。
それが、「サビタの記憶」。
代表作といわれる「挽歌」よりも前に執筆されています。
この作品により、「サビタ」という名前が一気に広まったという説もあるぐらいです。
比田さんは、小さな薄黄色い花をいっぱいつけた、低い灌木の小枝を折った。
花はいい匂いがした。私は比田さんの手から小枝を取った。
「なんて花?」
「サビタ」
と比田さんは答えた。タともテともつかぬ発音をした。
~原田康子 「サビタの記憶」より~
とはいえ、ノリウツギという名前にも、
立派に理由があるワケで、漢字で書くと「糊空木」。
枝の表皮をはぐと、糊のようにネバネバしていること。
枝の中心部は髄のようになっていて、そこを抜くと空洞になること。
こんな特徴をもつ樹木なんですよ。
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川湯エコミュージアムセンター http://www6.marimo.or.jp/k_emc/