BBCの人気番組の司会を長年務める、Jリーグでもプレーしたことのある、ゲーリー・リネカー氏が英国の移民政策を批判するツイートをした(ナチスドイツと同じ言葉を使って最も弱い立場にある人に対して取られた残酷な政策であるとの発言)として、20年以上司会を務めてきたMatch of the Dayというサッカー番組から降板させられた。発言に対して与党保守党が激怒し、国民からのテレビ税で運営されるためBBCの番組制作は公平性と政治的中立性が求められている、公共放送であるが政府から独立した存在という建て付けで、公平性ガイドラインが厳密に適用されるのだから、今回の発言はレッドカードである、と。
どこかの国と似た話だ、イギリス政治の劣化も目を覆うばかりだ。番組中に批判したわけではない、あくまでリネカー氏が個人のTwitterアカウント上で発言しただけ。英国政府がボートピープルとしてやってくる移民を違法化する移民政策に対して、どこにも行き場のない人たちの行き場を奪うと批判したに過ぎないのに。BBCに出演する人は、プライベートでも政治的発言を封じられるのか?それって言論の自由の剥奪じゃん、批判してる保守党は言ってることわかってんのかな?アホやとしか言いようがない。
日本のじみんと〜も同様。どいつもこいつも、じゃ。唯一違うのは、英国の民放局や大衆紙が「BBCのドラマに出演している俳優は自由に発言しているではないか」「難民を悪者にする行為に反対することは政治的ではない、BBCの司会者が人権を守れなくてどうする」などと反論していること。日本は揃いも揃って忖度祭り、放送法に関係するやりとりも大してニュースで扱われていない。政権の標的になっていた番組に対する擁護の言葉も聞かれない。
批判は受け止めて議論すべきものであって、封じるものではない。それができない劣等感に苛まれた、能力も余裕もない、国民が憲法でどういう権利を保障されているのかすら知らない人には、国民の代表としての資格はない、とあたしは思うけどね。ちなみにリネカー氏の人権意識は今回の発言にとどまらない。現在難民を二人自宅に受け入れてもいる。過去エントリーに、彼の人権関係のこと書いたのを思い出した。英国の国会議員の誰よりも人権や慈愛を口でも態度でも示してきた人だと思う、批判する前に自らの行いを振り返ってみたのかな?恥かくよ、選挙もあるしさ(苦笑)。
リネカー氏の写真はネットから拾ってきましただ
日本国憲法の下でも「犯罪の扇動」は表現の自由の枠外です。
また、
日本軍の著名な将校は「政治に口を挟みたいなら、軍服を脱げ」的な説教をしてたそうです。
BBCさんは
「政治に口を挟みたいなら、司会を降りろ」
ということなのでしょう。
(言動が契約条項に引っかかった疑いも。)
大臣は見苦しいの一言に尽きるのですが、このまま辞職せずに続けるんでしょうね。
政治家もそうかもしれませんが、日本のメディアが一番情けないかな。
ただ、今のBBCの会長のRichard Sharp氏は政府の推薦で2021年に今の職に就任したのですが、その直前に当時のボリス・ジョンソン首相の融資のアレンジの支援をしているんです。それって政治的に公正中立な組織の会長としてふさわしいですか?会長のポストを首相に便宜を図ることで「買った」と言えないでしょうか?
リネカー氏はサッカーワールドカップが開かれたカタールの人権問題に関しても批判をしていました。その時は今回のような「政治的中立性」は問題にされず、今回政府の進める移民政策に反対したことで降板となりました。外国の批判は良くて与党の政策の批判は「中立性違反」となる、ってどういうことでしょうか?
ルールが恣意的に適用されているという疑問は拭えず、今回のことで信用を失うのはBBCであり批判を封じようとした与党保守党だと思います。
日本のメディアは、本当に情けないです。今回の英国の事件ではリネカー氏の擁護に回る放送局・新聞社、リネカー氏の同業者などが自由に発言してむしろBBCが苦境に立たされています。安倍政権が政治を私物化した時に、日本のメディアの良心は瀕死状態になりました。