ルールは守ろう

競技場に政治を持ち込まない、交戦国同士もこの期間は休戦する、オリンピックのルールだ。過去にそれが幾度となく破られて死者も出してきたからこそ、今度こそは無事故で、と毎回膨大な資金を投下して、厳重な警備が行われている。

韓国の23歳の朴鍾佑選手が「独島はわれわれの領土」と韓国語で書かれたメッセージを持つ姿、インターネットなどで問題視されていた点について、IOCは朴選手のメダル授与式への出席を拒否した。これからIOCとFIFAの調査が行われるということらしいが、BBCによると朴選手は試合後観客から貰ったバナーを持って走り回っただけで、スタッフが気づいてすぐに奪った、計画的ではない、と韓国側は反論・主張しているとのこと。それが本当なら「計画性」はないかもしれない。が、メディアでは彼の発言として、もう少し違う報道もなされているようだ、どちらが正しいのかは画像が残ってれば明らかなはず。それに、仮に本当に観客から貰ったとすると、オリンピックの会場や施設で政治的な宣伝活動を禁じたオリンピック憲章に、韓国人観客ぐるみで違反したことになる。

これと対照的な対応をしたのが、馬術競技に出場したシリアのアサド大統領の遠縁といわれる、19歳のアフマド・ハムショ選手。記者から「先月アサド大統領を支持する発言をしていたが」と聞かれ「そうだ。しかし、オリンピックに参加するためにここに来た、政治については何もコメントしない」と取り合わなかった。会場の外で英国在住のシリア人が彼のオリンピック出場に対する反対のデモを行ったらしいが、それについては「自分はシリアを代表しているのであって、誰か個人を代表しているわけではない」とスムーズなやり取り。遠縁のおじさんはルール守ってないけど、ハムショ選手はオリンピックのルールは守ってるみたい（苦笑）。

韓国選手がルールを破った理由は、いくらでもひねり出せるだろう。が、自分たちの勝手な主張でルール違反をすることは、大会組織委員会をはじめとして大会を盛り上げようとしている人達の、長年の努力を踏みにじる行為であることに違いはない。この大会を目指して鍛錬を続けてきた選手が、オリンピックが「自分たちの大会」と思うことは当然かもしれない。でも「自分たちの大会のために尽力してくれた人」が存在しなければ、その大会自体が開催できないのも当然だ。他人の努力を同様に認め尊重することなくして、平和の祭典は成り立たないと思うけどな。それに・・・、ルールにのっとって優劣を競うのがスポーツ。じゃなきゃボクシングなんて単なる殴り合いだぜ（苦笑）。自分たちが人生をかけているスポーツへの冒とくのような気もする。

ちなみに、韓国大統領の竹島上陸問題については、日本が国際司法裁判所に領土問題を付託する提案をするようだ。韓国はこれを国際的に知られたくないため取り合わない方針だったのだけど、直前の竹島上陸に「触発」されたこのような「事件」が発生したことで、欧米メディアが朴選手の写真入りで懲罰委員会招集のニュースを伝える時、竹島問題がどういう問題なのか、直前に大統領が訪問したこと、などにも触れており、韓国政府の思惑とは逆効果。国際司法裁判所の審理は相手国の同意が必要だから、実現性は低いのだけど（過去数回日本が申し立て韓国が無視して実現していない）、そもそもオリンピック期間中に政治的な賭けに出るなどという、国ぐるみでオリンピックのルールを守らないとこうなるのよぉ～っと、留飲を下げているkebaです。

ハムショ選手の写真はAPから拝借