パンドラの箱

一番有名になったのは、彼女のツイート。元カナダのアイスホッケー代表でIOC委員のヘイリー・ウィケンハイザーさん。朝食ビュッフェで必ず問い詰めてくれるらしいんだけど、東京オリンピックが開催され、コロナ対策でビュッフェがなくなってなくて、森爺が選手村に入れてもらえればね、の話だな。

 

昨日のワシントンポスト紙は、この問題を不適切だと取り上げた上で、森爺が過去数々の差別発言を繰り返したその歴史を振り返っていた（自分が初立候補して選挙カーで田舎を回ったら、エイズ患者だと思ってるかのように逃げていった、とか、真央ちゃんは大事なところで必ず転ぶとか、アメリカで代表選手になれないからアイスダンスのリード姉弟は日本語も喋れないのに日本代表だ、とか）。それを読んで「神の国」発言とか「（投票日に）寝ててくれ」「子供を産まない女性を税金で面倒見るのはおかしい」も思い出した。確かに不適切発言の宝庫。

 

これを「失言」と許してきた日本社会、こないだもあれを笑って受け流した「わきまえた」人たち、がこういう人を生きながらえさせてきた。こういうのは不見識、非常識、無知、無能、学習能力皆無、え〜っと、え〜っと、他にもいろいろあるけどこの程度にしといたるわ。

 

正直言って、ジェンダー差別は日本に限ったことではない。ただ、諸外国ではこういうことを人前で口にすることは恥ずかしいことという意識は教育で植え付けられている。それを覆したのがトランプ爺で、アメリカ人は「え〜、いいんだぁ〜、そんなこと言って〜」と驚いたのだった。スポーツの世界だって社会を移す鏡なので、当然世界中のスポーツ界にもジェンダー差別は存在する。例えばアメリカ。女子のサッカー代表選手が、男子（当然優勝したことない）よりも成績が良いにもかかわらず、その男子よりも報酬が低いとして、米国サッカー連盟を相手取って訴訟を起こしている。テニスでも同様の問題がある。

 

賃金格差の問題だけじゃなくて、第3の性と呼ばれる性分化疾患をもつ選手の問題をどうするか？が未解決。国際陸上競技連盟が出場資格制限にテストステロンの値を持ち出して、南アフリカのセメンヤ選手を締め出そうとし、スイスの最高裁の判断でセメンヤ選手が勝訴したもののまだ解決には至っていない、という問題がある。

 

マグマがあっちこっちで小爆発を繰り返しつつも大爆発には至っていだけ、っていうこの問題を抱えるスポーツ界に、これだけオリンピック（やるつもりだったら）が近づいた今になって、この話題がパンドラの箱を開かないように、バッハIOC会長が4日夜には電話してきて「理解した」と幕引きを図ったのはそのせいに違いない。これが、東京五輪にとって最後の一撃になりますように〜