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初日に早く寝たせいか、目覚まし時計がなる前に二人とも目が覚めてしまった。テレビをつけたら、日頃ならまだ夢の中の時間帯のテレビ番組(笑)。二日目は修学院離宮に11時のアポがあり、その後は主人の希望で三十三間堂へ。その後は未定、ま、いつもの行き当たりばったりですやん。
ホテルをチェックアウトして、荷物を京都駅まで送る手続きを済ませ、四条駅近くのカフェでゆっくり朝食をとり、地下鉄烏丸線で終点の国際会館まで行き、そこから市営バスで修学院離宮道へ。ここから徒歩15分くらいというのだけど、まだまだ早い。昼食難民になるのが怖かったので予約しておいた、離宮近くのお店の場所を確認したりして、集合場所へ。それでも早すぎて、門の前にいた職員の方に「赤山禅院に行くくらいのお時間がありますよ」と言われてしまう。
それはどういうお寺なんだろうね〜、とか言いながら教わった通りに歩いて行って、辿り着いたのが最初の写真。平安時代創建、比叡山延暦寺の塔頭、都七福神の一つ福禄寿のお寺、紅葉の名所、本尊の赤山大明神は京都御所の表鬼門を守護しており方除けのお寺として信仰されている、のだそうである。
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山道の石垣には立派な苔
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境内にはなぜだかポンプ式の消防車(?)
そうこうしているうちに時間がやってきて、あやうく受付に遅れそうになってしまった(笑)。「おかえりなさい」と迎えられ、係の人に参観許可証を提示して中に入れてもらう。10世紀後半に修学院という寺が建立されたことが、地名の由来。桂離宮から30年余り経ってから、1655ー1656年に御水尾上皇が造営工事を開始し、1659年に完成した山荘。比叡山の麓に上中下の3つの離宮、それを繋ぐ松並木、その周辺の80,000平米の田畑、という大規模造営をそんな短期間に片付けちゃうって驚き。ピラミッド造営の様子を描いた絵をちらと思い出して、いやいややんごとなきお方がお造りになった離宮が、そんなブラックな現場であったはずない、比叡山の山麓だって地形を上手に使ったんだよ、と自分に言い聞かせた。が、マジ、どういう労働条件だったんだろうね・・・。
桂と違って参観料を徴収しないからなのか、25人くらいの参観者と一人の説明員で回った。同じなのはコインロッカーに荷物を預けられることと(あとでお金が戻ってくるタイプ)、長傘を貸してもらえること。25人にもなると、いくら小型スピーカーを首から下げているとはいえ、説明員さんが背中を向いてたり少し離れたところにいらしたら、何を言ってるかさっぱり聞こえない。主要な建物がどういう背景を持っているのかなど、パンフレットやネットで確認するしかない、残念なアレンジだった。
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まずは下離宮、寿月観
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一の間
柿葺入母屋数寄屋風造りの離宮。一の間は15畳、3畳の上段と1軒半の床と琵琶床と飾り棚がある。飾り棚には鶴の絵、下の地袋には岩と蘭の花の絵。ともに原在中の筆。下離宮は上離宮への拠点で、相当のもてなしのできる設備が備わっていたとされるけれど、比較的早い時期に失われた湾曲閣という最大の建物がない今は、その面影はない。
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松並木を通って中離宮へ
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門を背にして立つこの人、皇宮警察
羊飼いみたいに、後ろからひたひたとついてきた。ちなみに桂離宮・修学院離宮を含む宮内庁施設の参観申し込みには、住所・氏名・年齢・性別を知らせる必要があり、なおかつ当日は許可証を持参した上で身分証明書の提示まで求められる。あたしは宮内庁のサイトからネット予約したので2日後くらいには結果がわかったけど、大学時代に申し込んだ時は往復ハガキで第3志望くらいまで書いて何週間か返事を待つしかなかった。人数制限だけならここまでやる必要はないので、身元確認をしているんだと思う。そこまでやってるのにどうして警察を見張りにつけるのか、謎でしかない。桂離宮では、メインの説明者の女性と補助的に説明してくれる男性の宮内庁職員二人1組で対応していた。どちらの方に質問しても答えが返ってくる、よいアレンジだった。あたしがここまで修学院離宮参観アレンジの批判をするのは、それなりの理由があるのじゃ。それはまた後ほど。
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階段を登って
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池を右手に見て
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楽只軒と客殿へ
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客殿一の間は12畳半、霞棚と呼ばれる大小15枚からなる飾り棚
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杉戸に描かれた鯉の絵、網だけは円山応挙の筆と伝えられている
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狩野敦信の筆といわれる、祇園祭の鉾の絵
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濡れ縁には、網干の欄干
比叡山山麓の地形を利用したからなのか、建物全体が立っている地面の高さにかなり段差がある。石垣で高さを揃えて低い土地に立つ建物の二階部分につなげた造り。漁村で網を干した形を表す意匠の低い手すりのある濡れ縁で繋がっている。
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広い敷地内の田畑は、買い上げて付属農地とされている。
景観保全のためだそう。松並木の両側に広がる農地だし、上離宮の眼下に広がる土地だからね。農作業は継続されているので、ピックアップトラックなどで乗り付けて作業をなさる方の姿を見かけた。
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ここからは上離宮
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隣雲亭の前からみた池とその向こうの京都の街
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あべのハルカスまで見えるという見晴し
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千歳橋
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楓橋を渡って窮邃亭(きゅうすいてい)へ
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宝形造りの茶屋、苑内に現存する唯一の創建当時の建物
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景色を楽しむため窓が広く、窓際が畳1枚分だけ高くなっている
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浴龍池に浮かぶ中島
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船着場の先は、ほとんどエタニティープールのよう
山麓の地形を素敵に利用して、驚くべき短期間で作り上げたとされる修学院離宮。こんなにすごいところなのに、桂離宮の何倍もの広さも高低差もあるのに、説明員は60分で回り終えようと、ものすごい駆け足。立ち止まって見渡してその壮大さを感じたり、ここはと思える場所で写真を撮ったりしてゆっくり歩いていたら、最後の最後に皇宮警察に早く歩けと注意された。注意されたのはあたしたちだけではないようで、途中、同じグループの見学者が後ろから逃げるようにあたしたちを追い抜いていったことがあった。警察官にとっては見飽きた風景で、時間通りに見学者を門の外に出して鍵をかけることにしか興味がないのかもしれない。何か月も前に予約して楽しみにこの日を待ってた、現地で目にするものに感激してる、細部まで目に刻みたいと思う見学者の気持ちなんかお構いなしなのであろう。情けない。
何回かブログでも書いた記憶があるんだけど、あたしは楽しそうに仕事をする人でありたいと思っている。どんなに難解で面倒な仕事でも、仕事の性格上要求度が高かったとしても、逃げずに真面目に向き合えば、何かしら楽しいことというか新しい発見がある。あたしはプロとして、それをちゃんと見つけられる人でいたいと思っているし、そうすることは大事な仕事を託してくれるクライアントへの礼儀だとも思っている。そうやって頑張った自分へのご褒美の旅で、こういう人に会わなきゃならないのは心底腹立たしい。修学院離宮は、90分を基準にして参観をプランすべき広さだと思う。その方がせっかくの説明員の説明が生きるし、見学者の疑問もその場で解決される。後ろから追われるように歩く必要もなくなる。そもそも桂離宮と違って修学院離宮は見学料金を取っていないのだから、1日あたりの見学者数が減っても収支に影響はない。なんでそうしないんだろう、絶対宮内庁に文句言ってやるぅ〜と、帰京してから宮内庁のサイトで「訪問後のアンケート」を見つけて、感じたことと要望を書き込んでやったわ。
怒らせると怖いのよ、あたし。
宮内庁からは何も反応はないと思います、アンケートみたいな扱いなので。
だから同じような思いを持った人がフィードバックを寄せない限り変わらないと思います。
錦小路のシャッター、教えてくださってありがとうございました。
楽しかったですよ、
写真を見てください、さがすと誰が持ってるか書いてありますから〜(笑)
美術館の展示品のようにガラスでも守られてもいないものを見せる以上
ある程度調べられても仕方ないと思います。
でも、そういうスクリーニングを経た人に対して、見学時間を制限して
それを守るべくさっさと歩けっていうのは本末転倒だと思います。
修学院離宮が景色を愛でる離宮なだけに勿体無いことだとも思います。
はっきり言って、相手を選んで対応しろよって感じです。
久々になんじゃこりゃって感じでした。
宮内庁からどんな返信がくるんでしょうね〜。
まさか、無かったことにするとかないですよね🤔
錦小路のシャッターの絵を覚えてくださったんですね🥰
そして、これはどこそこの美術館で見ましたって言うkebaさんの記憶力素晴らしいです💕
修学院離宮もなんですね。
『私、爆弾持ってないって!!』と言いたくなったり
kebaさんが怒るの分かる。
国民が日本の文化財を愛でたい気持ち、宮内庁の役人ならもっと理解して欲しいし、そういう教育もしてほしいですね。
姐さん天晴れ❗
皇宮警察なんて、どうせ杓子定規で時間厳守しか考えてないんでしょ。まあそれが警察官かも知れませんが。そんなら、時間を十分取ってくれって言うのは尤もなことです。