BS12で、夏目雅子の映画を特集していた。
借りたものも含め、4本を観た。制作順にならべると
鬼龍院花子の生涯
時代屋の女房
魚影の群れ
瀬戸内少年野球団
私は、『瀬戸内少年野球団』が一番早い時期に作られたものと思っていた。
これが最後の映画になるとは、夏目さんは心残りだったのではないだろうか。
『瀬戸内少年野球団』は、夏目さんの明るさが瀬戸内海とあいまって、
健康的な映画に仕上がっていて、楽しく観ることができる。
だが最後の映画として観ると、物足りなさが残る。
なぜなら、この映画は「夏目雅子」のために作られたように思えるからだ。
これは一般論だが、「スターのための映画」ほどつまらないものはない。
スターのために作られたとあっては、監督にも、他の出演者にも、
そして映画にも失礼だ。
『魚影の群れ』に、彼女の魅力が一番出ていた。
生命がほとばしる、奔放な、力強い、そして愛くるしい女性。
彼女が生きていたら、どんな映画が観られたのだろう。
もしかしたら映画というジャンルに嫌気がさして、舞台女優になっていたかもしれない。
病気で降板した舞台は、どんな芝居だったのだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/ab/1b55d9f12f8285e285b803b1659e0067.png)
(画像はお借りしました)
①ドイツ・ハンガリー映画『暗い日曜日』の主人公、イロナを演じたエリカ・マロージャンは
夏目雅子をほうふつとさせる。
生命がほとばしり、骨太で、どの場面でも自分の生き方を貫き、キラキラしている。
周りが傷つくことなど眼中にない。
そしてひたすら美しい。
彼女に翻弄され、彼女を見守るしかないラズロ役の「ヨアヒム・クロール」の
やるせなさがいい。(写真左)
ピアニストもからみ物語は進行するが、三人の上にナチスの陰が忍び寄る。
観終わってから、最初のシーンとラストシーンがぴたっと繋がった。
「やっぱ映画は脚本よね」とつぶやかずにはいられなかった。
ちなみにこの映画は、ハンガリー楽曲『暗い日曜日』を基にしている。
参考までに 「Gloomy Sunday -Original, Hungarian Version 」
↓
https://www.youtube.com/watch?v=jOqiolytFw4
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/02/f8469e2ad07af1cb785a3de895768ef0.png)
②史実を声高に訴える映画よりも、知らない間に人々の生活に関わっているような
映画が好きだ。
『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島』も、難民問題を声高に叫ぶ映画ではない。
少年の目を通して、知らない間に人々の生活に入り込み、静かに訴える。
↓
http://www.bitters.co.jp/umi/
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/ba/3bd662eec03bb4047de4f90c6cd04926.jpg)
③親子の関係を描いた作品で、日本の映画はなぜこうも濃密に関係を描くのだろう。
理想の母親像、母子の絆のすばらしさ、お涙頂戴……。
『母の身終(みじま)い』を観れば、多くを語らなくても、いや語らないからこそ、
親子の本質が見えてくる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/f0/bdaf1ca7a78ab3bc2a7644c2ee07860b.png)
④タイトルは仰々しいが、『湯を沸かすほどの熱い愛』を観て、宮沢りえの演技に感動した。
彼女は一作ごとに上手くなっている。
特に、死の床で口を薄っすらと開けた顔は老醜をさらし、
私は母の最期を見ているようだった。
70歳をとうに過ぎても「若さ、美貌、清純さ」を瓶詰にし、永久保存している
女優もいるが、宮沢りえは100歳の老婆をも演じることができる役者だ。
これからが楽しみだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/81/b63c35c1f9790f0d22f81b35837a5df9.jpg)
⑤私が死の床で、「これまでに観た映画で一番印象に残っている映画は」と聞かれたら、
迷うことなく『ニーチェの馬』と答えるだろう。
高齢の父と娘が粗末な家に暮らしている。
食事はいつも茹でたジャガイモ一つ。
ついに井戸が枯れて、ジャガイモを茹でることができなくなる。
生のジャガイモを前に娘が躊躇していると、父は「食べろ」とだけ言う。
生きるとは、生きることの根っこを教えてくれた作品だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/45/8ca266c9d25b72b8635c4440646217e8.png)
(画像はお借りしました)
借りたものも含め、4本を観た。制作順にならべると
鬼龍院花子の生涯
時代屋の女房
魚影の群れ
瀬戸内少年野球団
私は、『瀬戸内少年野球団』が一番早い時期に作られたものと思っていた。
これが最後の映画になるとは、夏目さんは心残りだったのではないだろうか。
『瀬戸内少年野球団』は、夏目さんの明るさが瀬戸内海とあいまって、
健康的な映画に仕上がっていて、楽しく観ることができる。
だが最後の映画として観ると、物足りなさが残る。
なぜなら、この映画は「夏目雅子」のために作られたように思えるからだ。
これは一般論だが、「スターのための映画」ほどつまらないものはない。
スターのために作られたとあっては、監督にも、他の出演者にも、
そして映画にも失礼だ。
『魚影の群れ』に、彼女の魅力が一番出ていた。
生命がほとばしる、奔放な、力強い、そして愛くるしい女性。
彼女が生きていたら、どんな映画が観られたのだろう。
もしかしたら映画というジャンルに嫌気がさして、舞台女優になっていたかもしれない。
病気で降板した舞台は、どんな芝居だったのだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/ab/1b55d9f12f8285e285b803b1659e0067.png)
(画像はお借りしました)
①ドイツ・ハンガリー映画『暗い日曜日』の主人公、イロナを演じたエリカ・マロージャンは
夏目雅子をほうふつとさせる。
生命がほとばしり、骨太で、どの場面でも自分の生き方を貫き、キラキラしている。
周りが傷つくことなど眼中にない。
そしてひたすら美しい。
彼女に翻弄され、彼女を見守るしかないラズロ役の「ヨアヒム・クロール」の
やるせなさがいい。(写真左)
ピアニストもからみ物語は進行するが、三人の上にナチスの陰が忍び寄る。
観終わってから、最初のシーンとラストシーンがぴたっと繋がった。
「やっぱ映画は脚本よね」とつぶやかずにはいられなかった。
ちなみにこの映画は、ハンガリー楽曲『暗い日曜日』を基にしている。
参考までに 「Gloomy Sunday -Original, Hungarian Version 」
↓
https://www.youtube.com/watch?v=jOqiolytFw4
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/02/f8469e2ad07af1cb785a3de895768ef0.png)
②史実を声高に訴える映画よりも、知らない間に人々の生活に関わっているような
映画が好きだ。
『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島』も、難民問題を声高に叫ぶ映画ではない。
少年の目を通して、知らない間に人々の生活に入り込み、静かに訴える。
↓
http://www.bitters.co.jp/umi/
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/ba/3bd662eec03bb4047de4f90c6cd04926.jpg)
③親子の関係を描いた作品で、日本の映画はなぜこうも濃密に関係を描くのだろう。
理想の母親像、母子の絆のすばらしさ、お涙頂戴……。
『母の身終(みじま)い』を観れば、多くを語らなくても、いや語らないからこそ、
親子の本質が見えてくる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/f0/bdaf1ca7a78ab3bc2a7644c2ee07860b.png)
④タイトルは仰々しいが、『湯を沸かすほどの熱い愛』を観て、宮沢りえの演技に感動した。
彼女は一作ごとに上手くなっている。
特に、死の床で口を薄っすらと開けた顔は老醜をさらし、
私は母の最期を見ているようだった。
70歳をとうに過ぎても「若さ、美貌、清純さ」を瓶詰にし、永久保存している
女優もいるが、宮沢りえは100歳の老婆をも演じることができる役者だ。
これからが楽しみだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/81/b63c35c1f9790f0d22f81b35837a5df9.jpg)
⑤私が死の床で、「これまでに観た映画で一番印象に残っている映画は」と聞かれたら、
迷うことなく『ニーチェの馬』と答えるだろう。
高齢の父と娘が粗末な家に暮らしている。
食事はいつも茹でたジャガイモ一つ。
ついに井戸が枯れて、ジャガイモを茹でることができなくなる。
生のジャガイモを前に娘が躊躇していると、父は「食べろ」とだけ言う。
生きるとは、生きることの根っこを教えてくれた作品だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/45/8ca266c9d25b72b8635c4440646217e8.png)
(画像はお借りしました)