河瀬直美監督の「2つ目の窓」を観る。
「銃」の村上虹郎を観てから、彼のデビュー作を観たいと思っていた。
「萌の朱雀」で尾野真千子を見出したように、この映画で河瀬監督は
17歳の村上虹郎を世に出した。
父親(彼の父親である村上淳も映画に出ている)譲りの濃い眉。
寡黙ながら内に秘めた激しさが伝わってくる。
奄美大島に暮らす高校生役の吉永淳にこころ惹かれた。
今は名前を替えて、「阿部純子」として活躍しているようだ。
自然がさまざまな表情を見せるように、彼女もさまざまな顔を見せる。
人の心を射抜くように真っすぐな眼、自然の一部になったような大らかな姿態。
両親に甘える時の猫のように無防備な形。
黙っている時も、頭の中はしっかり物事を考えているのが分かる。
まさに彼女は映画の中で呼吸し生きている。
彼女がいるから、奄美の自然の中で繰りひろげられるさまざまな出来事が
現実味を帯びてくる。
4、500年立ち続けているガジュマルを身近に見ながら、
死期が迫っている彼女の母は、死は特別なことではないと言う。
自然の一部なのだ。
自然の中で死は美しい。
母親の周りを親しい人たちが囲み、三線を弾きながら歌う。
あなたはどうしても行くの?
私を忘れて
行ってしまうのですか?
あなたが行ってしまったら
私はどうすればいいの?
それは心苦しいです。
やっぱり行ってしまうのね?
どうしても遠い島に
行かなくてはなりません
千年 万年
長生きしたいです
生きたかったです
みんなで踊りながら見送ろうとする。
母親も一緒になってかすかに手を動かし踊る。
強い風が吹いている。
母親が亡くなったあとに、彼女は海に向かって歌をうたう。
あなたはどうしても逝くの
私を忘れて逝くの
あなたが
逝ってしまったら
どうすればいいの
それは心苦しいでも
やっぱり逝ってしまうのね?
どうしても遠い島に
逝かなければならないの
でもきっとあなたを
想い出して
戻ってくるからね
「人はね 誰でも死ぬんだよ でも命は繋がっている」 (引用ここまで)
美しい映画だ。
70歳を目前にして、持病のために映画館に行くことも美術館に行くことも
かなわぬ身に、死は決して遠いものではない。
この映画のように、自然の中で死ぬことの豊かさを想った。
そして「内地の人は長生きさせられて気の毒」という、母親の言葉が胸に響いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/54/118b56ee576a9889205b6196bb4f1f58.png)
(画像はお借りしました)
「銃」の村上虹郎を観てから、彼のデビュー作を観たいと思っていた。
「萌の朱雀」で尾野真千子を見出したように、この映画で河瀬監督は
17歳の村上虹郎を世に出した。
父親(彼の父親である村上淳も映画に出ている)譲りの濃い眉。
寡黙ながら内に秘めた激しさが伝わってくる。
奄美大島に暮らす高校生役の吉永淳にこころ惹かれた。
今は名前を替えて、「阿部純子」として活躍しているようだ。
自然がさまざまな表情を見せるように、彼女もさまざまな顔を見せる。
人の心を射抜くように真っすぐな眼、自然の一部になったような大らかな姿態。
両親に甘える時の猫のように無防備な形。
黙っている時も、頭の中はしっかり物事を考えているのが分かる。
まさに彼女は映画の中で呼吸し生きている。
彼女がいるから、奄美の自然の中で繰りひろげられるさまざまな出来事が
現実味を帯びてくる。
4、500年立ち続けているガジュマルを身近に見ながら、
死期が迫っている彼女の母は、死は特別なことではないと言う。
自然の一部なのだ。
自然の中で死は美しい。
母親の周りを親しい人たちが囲み、三線を弾きながら歌う。
あなたはどうしても行くの?
私を忘れて
行ってしまうのですか?
あなたが行ってしまったら
私はどうすればいいの?
それは心苦しいです。
やっぱり行ってしまうのね?
どうしても遠い島に
行かなくてはなりません
千年 万年
長生きしたいです
生きたかったです
みんなで踊りながら見送ろうとする。
母親も一緒になってかすかに手を動かし踊る。
強い風が吹いている。
母親が亡くなったあとに、彼女は海に向かって歌をうたう。
あなたはどうしても逝くの
私を忘れて逝くの
あなたが
逝ってしまったら
どうすればいいの
それは心苦しいでも
やっぱり逝ってしまうのね?
どうしても遠い島に
逝かなければならないの
でもきっとあなたを
想い出して
戻ってくるからね
「人はね 誰でも死ぬんだよ でも命は繋がっている」 (引用ここまで)
美しい映画だ。
70歳を目前にして、持病のために映画館に行くことも美術館に行くことも
かなわぬ身に、死は決して遠いものではない。
この映画のように、自然の中で死ぬことの豊かさを想った。
そして「内地の人は長生きさせられて気の毒」という、母親の言葉が胸に響いた。
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(画像はお借りしました)