◇建築士受験講座も、4月からスタートして約3か月が過ぎ、試験まで残り僅かというところです。
◇そこで、学生から質問があった理解度が不十分と推察する部分を確認していきます。
◇用途規制について、「公益上必要な建築物」の認識を要する問題。
・別表2(は)項一号、同(ろ)項一号より、同(い)項九号に該当する「公益上必要な建築物」は建築可能。
・すなわち、第一種低層、第二種低層、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域で建築可能。
・政令130条の4において、「公益上必要な建築物」が定義されている。
一号:500㎡以内の郵便局
二号:地方公共団体の支庁・支所、老人福祉センター、児童厚生施設で、600㎡以内のもの
四号:路線バス停留所の上家
・過去問では、これらの用途の建築物が、交代で出題されていることに注意です。
◇標準せん断力係数が、許容応力度計算と必要保有水平耐力計算では異なることの認識を要する問題。
・許容応力度計算の場合の標準値は「0.2」(政令88条2項)
・許容応力度計算の場合の軟弱地盤で大臣が指定する区域内の木造建築物は「0.3」(政令88条2項)
・必要保有水平耐力計算の場合は「1.0」(政令88条3項)
◇構造計算をした場合に、守るべき技術的基準と緩和出来る技術的基準があることの認識を要する問題。
・守るべき技術的基準は「政令36条1項」に掲げる「耐久性等関係規定」
・必要保有水平耐力計算をした場合に、緩和される技術的基準が「政令36条2項」に掲げられている。
・特に政令77条のコンクリートの柱の構造部分の仕様規定には注意が必要。
◇「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称:バリアフリー法)」において、
・「床面積の合計2,000㎡以上の特別特定建築物」に義務付けられている「建築物移動等円滑化基準」
・「建築、維持保全の計画の認定申請」に必要とする「建築物移動等円滑化誘導基準」との違いの認識を要する問題。
・廊下幅について「建築物移動等円滑化基準」では、120㎝以上とすること。(政令18条2項三号イ)
・廊下幅について「建築物移動等円滑化誘導基準」では、180㎝以上とすること。(主務省令114号)
・「建築物移動等円滑化基準」は遵守基準で、「建築物移動等円滑化誘導基準」は、任意の認定を取ろうとする場合の基準で、
当然、法的遵守基準よりレベルアップしているのです。
・ホテル等の車椅子使用者用客室の必要数の計算基準も同様です。
「建築物移動等円滑化基準」では、客室総数に1/100を乗じた数値以上
「建築物移動等円滑化誘導基準」では、客室の総数が200以下の場合は当該客室の総数に1/50を乗じて得た数以上、
客室の総数が200を超える場合は当該客室の総数に1/100を乗じて得た数に2を加えた数以上としている。
◇講座では、学生が知識を習得していると思っているとの認識で進めますが、質疑を受けると「ここで詰まっているのか?」という、具体的問題点がわかってきます。
◇やはり演習をして「P・D・C・A」のデミングサイクルを回すことの大切さを感じています。
2023年6月18日 by shrs(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
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