退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 9

2015-08-19 04:49:03 | 韓で遊ぶ


母のにんにく漬け
実家の母は70歳近い年で田舎で一人で農業をしています。母の唯一の楽しみは丹精こめて作った農作物を私に送ることです。遅くに生まれた一人娘を、とても大事に思う母の真心で、我が家の食卓はいつもたくさんのおかずでいっぱいです。私のように仕事をしている人には、この上なくいいことなのですが、時には面倒なこともあります。にんにく漬け事件がそうでした。
「お前たちが良く食べるからにんにく漬けを作ったけど、いつ取りにこれる。」
電話ではすぐに行くといっておいて、私は、今日明日と延ばしていました。電話で一日に何回も確認する母は、とても気をもみました。
「ヒジン、お前のお母さんが入院した。」
町内のおばさんに電話をもらって行った病院で、母は風邪と疲労で寝込んでいました。
「何ヶ月前からか、にんにく漬けを作っていて、一日中にんにくを処理していたんだけど、こんな病気にもなるさ、、、」
母のその間の状況を語ってくれるおばさんの言葉、、、。ありがたいというよりも先に心が痛んで、のどが詰まりました。
その日の夕方、私は母の家に行きました。必要なものをいくつか整えて急いで帰るつもりだったのですが、縁側にきちんと置かれているたくさんのガラスの瓶に視線が行きました。
「これ、皆、何なの。」私は独り言を言いました。1年食べても十分に残るぐらい位のたくさんの量のにんにく漬けが、ガラスの瓶に漬けられていました。瓶ごとに名前札がついていました。
「漬けた日、、、食べる日。」漬けた日と食べられるようになる時期が書いてあり、一種の品名だったのです。
指先がひりひりするほどに、このたくさんのにんにくの皮をむいて洗って漬けた母、、、。子供が食べると思うと辛いこともわからないのでしょう。
辛いにんにくのにおいが胸をえぐるように痛く押し寄せました。
「母さん、ごめんね。ううう、、。」
母さんの気持ちを軽く考えたいたのを恥ずかしく思いました。
辛いにおいが消えて、いい匂いの甘い味が出てくる母のにんにく漬け、、、。その強い愛に甘い幸福を味わっています。
コメント
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