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福を作る仕事
私はタイの大学で韓国語を教えている。
はじめはなれない環境と言語に対する苦労で
「なぜここにいるの」と自らを責めたりした。
韓国にいても考えの違う人に会うと大変なのに
異なる文化圏で生活するには突き当たる問題がひとつ二つではなかった。
その度に「価値観が違っているからしかたないわ」と気持ちをなぐさめた。
ある日、偶然に閨房工芸(韓国の伝統的な手芸、パッチワークに似ている)をする
韓国人のおばさんに会った。
私は今まで縫い物と言うと、ボタン付け、ストッキングの親指を縫い繕うぐらいだった。
1日おばさんに福袋の作り方を習った。
その後生活に小さな変化が起こった。
うまくできた福袋をプレゼントすると自然に話題ができて、
学生たちの授業態度も変わった。
福を作ってプレゼントすると2倍3倍になって増えていき、
分け合うほどに楽しいことが生じた。
もう、これ以上「能力が足りなくて人々と疎通できないのかしら?」という自責もなくなった。
自分がいなければならない場所を自ら作ってそこにぴったりはまっていく日々だった。
一針一針福を縫うように、いつ、どこでも与えられた責任を果たしたい。
アンユジン
今朝もがんばってみました
(2023/7月25日画像サイズ変更)