10月13日(木)
やっと、初秋の気配。
シャツだけでは、寒そうなので
夏の麻ジャケットを着る。
漁港を吹き抜ける冷風は、麻の縫い目を
通して脂肪たっぷりの上半身を刺す。
秋の漁港
10時 駅前に着いた。
駅階段に、古ぼけたラジカセを置き
音楽を流す男が腰かけている。

通り過ぎて ? うん!
何処かで 見たことのある人相。
振り返って再度見た。
あのホームレスだ。
10年程前 若者が駅付近で、毎日コンクリートの上に座り
駅 行き交う人々を大きく丸い目で
悲しげな表情で見つめていた。
春が来て 夏を迎えても座っていた。
秋もじっとしていた。
冬も海風が吹き抜ける構内通りでじっとしていた。
小奇麗だった衣服は、汗、ゴミ、で徐々に黒ずんでいった。
頭髪は皮脂でポマードをベッタリ塗ったようだった。
通るたびに、気がかりだった。
若者が何で ?
何があったのだろうか?
2年ほど 座り続けていたが
突然 消えた。
あの若者も、救護 保護されたのかと思い
何故か、ホットしたのだ。
思い出すこともなかった。
バブルがはじけ、若者雇用が減少。
今日 見た彼は
歳月と不健康で劣化していたが
着古しの衣服だが、洗濯された
清潔な衣服だ。
顔も汚れの黒光りではなく
頬は、地肌でふっくらしている。
何故 ?又 ここに戻ったのだろうか?
日本の不況は底知れぬ状況。
若者 老人 皆 展望の光が射さない。