森の時間 SINCE 2002

Le Temps Du Bois

力を引き出す農科学@佐口公民館

2017年10月28日 | 森林・里山・野外活動




「信州大学の地域戦略プロフェッショナル・ゼミ」の第6、7回講座『力を引き出す農科学』の公開講座が佐口集落の公民館であった。
公開とは言っても、基本は今回のゼミのテーマらしい「人地図つくり」のインタビューを受けた佐口集落の皆さんが主対象のようで、多分私は唯一の他所者。

「のらくら農場」萩原さんのトークがアジェンダに入っていて、同時に佐口の集落を知る機会になると思い、台風が近づく雨の中を川越からひとっ走り、飛び入りで参加してしまった。
萩原さんの紹介、《本質の根っこの原理を探究し続け、地の力、作物の力、人の力をぐんぐん引き出す有機農家が佐久穂町にいます。"面白い!"が伝搬して相乗効果を生み出す共通した哲学とは?》
体験に基づいた軽妙なトークが一層深化し、パワーアップ! 萩原ワールドに引き込まれます。


受講生5グループの発表には興味深いものもあって、期待通り佐口集落に一歩踏み込めた気がした。以前耳にしたことのある水争い、鷽の口の「円形分水」、昭和26年に出来た佐口貯水池、養蚕から水稲、菊栽培の歴史。時代の流れにしなやかに生業を変えて来た。集落の互助、移住者との交流、暖かく穏やかな住民、家庭料理の献立等、発表には賛美が目立つ。
佐口の里奥に出入りして15年、過去の蓄積を感じる豊かな集落との印象は確かにある。が、歴史重ね作られてきた整った景観や畑地は、次の世代にも継承されるのだろうか。便利で快適な生活と子弟の高等教育が当たり前になった現役・次世代は、伝統の農業+の生業の創出が必要だと思う。

世の潮流は「田園回帰」だそうだ。都会に流入する11〜2万人とほぼ同数が、しかも子育てする20代-30代が地方、田園、農業に向かっているらしい。生き方・暮らす場所の選択肢が拡がる成熟した社会において、農業・地方の選択が増えていることは素敵だ。
日本の豊潤な四季・景観・自然を体感し、語り合う空間として開発して来た佐口の里奥の「森の時間」。多くの人に利用して頂いている。里山・田園・土、森・自然に回帰する流れが強くなっているらしい潮流を感じることが出来、励みになる公開講座でした。

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