ホオジロ(Emberiza cioides)
ベニマシコ(Uragus sibiricus sanguinolentus)
スズメ(Passer montanus)
降りしきる雪の中、水田でもみ殻の中から米粒を探すスズメたち。
都会のスズメなら公園で人の食べこぼしなんかを狙うところ、雪国のスズメ達は過酷な環境の中でその何倍も餌とりに苦労するだろう。
私の故郷、岩手沿岸南部の山の生物相はお世辞にも良いとは言えない。
田舎なところは一丁前なくせに、周りの山はほぼ全てスギかヒノキの植林になっており、不毛な森に囲まれている。
まともな散策をするには、車で保安林の山まで行かなければならない。
それでも、やはり実家の周りは散歩がてらに鳥見していると雰囲気がよいもの。
懐かしい風景はほとんど変わっておらず、私も幼い頃とやっていることがほとんど変わっていない、というのがなんだか不思議な感じ。
近所のおばあさんは挨拶すると私のことを覚えていてくれたりして、田舎特有の温かさがある。
【2008/01/01/岩手】
冬の岩手県沿岸南部。
初夏にはキビタキやミソサザイが鳴きまわり明るく賑やかな山も、冬になり雪が積もればシンと静まり返り、鳥の声1つしない。
鳥を探しに山を登ったはいいが、鳥が見当たらない。
山の上のほうへ行くと、雪にはまって動けなくなっている車があった。しかし、車の中を覗くと人が乗っていない。
私が運転する車も同じ目に合わないよう、慌てて道を引き返した。
【2008/01/02/岩手】
この日は関東でも珍しく雪が降り積もり、冷えた朝のうちだけは辺り一面銀世界になっていた。
この雪の早朝に、重い体を引きずって鳥見に出かけた。
もし前日に友人とその場のノリで「朝行こう!」などと計画していなかったら、絶対に外に出たくない寒さである。素手で三脚を持とうものなら凍傷になりかねないほどに。
そんな中、梅の花が早々と咲き、そこにメジロの小群が来ていた。
雪の中に在りながら、こっそり隠れた早春を見つけた朝であった。
【2010/02/02/神奈川】
トラフズク(Asio otus otus)
朝早く見に行ったが、私が着いた頃にはすでに眠りの中にあった。
ここはトラフズクの塒である。
トラックの音などに驚き、たまに体を掻いたりするが、目は閉じたまま。
早朝にトラフズクを見た後、登校した私は一日中このトラフズクの様になっていた。
【2010/02/08/神奈川】
ユキホオジロ(Plectrophenax nivalis)
冬の北海道へ行きたい。でも忙しくて行けない。
そういう時は、近場で北国の鳥を見るに限る。
それにしても、電車とバスで行くのは少々辛いな・・・なんて考えていると、後輩からメールがあった。
「レンタカー借りて行きましょう!」
これ対し、光の速さでOKの返信をしたことは言うまでも無い。
今回は楽チンな便乗鳥見である。忙しい時こそありがたい。
まず最初の目的。
着くなりすぐにいた!
ユキホオジロとか、夢の鳥ですよ!
植物の種なんてほとんど無さそうなゴミだまりで採餌中。
「ユキホオジロは冬羽が最高だよね!」と、後輩と意見が一致。
なんといっても、耳羽の褐色---つまりオカメインコ様の「チーク」が入ることによりかわいさが格段に増すのである。
特にこの個体はそれが明瞭であり、頬を赤らめた感じの、愛でずにはいられない様相を呈していたのだから。
「かわいい」を何度言ったかわからない。
手元の文献には亜種ユキホオジロ(P.n.vlasowae)と亜種オオユキホオジロ(P.n.townsendi)の識別は困難との記載がある。
遺伝子解析でもしないと。
1日で色々まわりたいので1時間ほど観察した後、早々に移動。
次に、漁港に着く。
雨が降り出したが、かまわず海沿いを歩いていると、足元の海面が「バシャ!」と音を立てて波立つ。何かが潜ったのだ。
正体はこの子。
ミミカイツブリ(Podiceps auritus)
足元にいることに気付いていたら、ゆっくり近づいたのだけれど。
ウミネコ(Larus crassirostris)
カモメ類はスルーで。今回は時間が無いのです。
クロワのなく頃に、また来ようということで。
コオリガモ(Clangula hyemalis)
本日の目標、2種目!!
いるもんですね。しかも雄。
有名な「アォ アォナ」ボイスは聞けなかった。
コイツの成鳥、尾羽シャキーンな♂を見る機会は、北海道で、かな。
途中でコスズ探しに没頭していたら・・・明らかにいない。
コオリガモが忽然と姿を消した。少し前に会ったバーダーも「見つからなかった」と言っていたし、
タイミングにもよるのかもしれない。
しばらくしてまたスズガモの群れを見ると、何事も無かったかのようにコオリガモが戻っていた。
一体どこへ行っていたかは、謎に包まれている。
早々に場所移動をしようと車に戻る途中、なんか出た。
こう、水面にヌラッと。
第一印象、「アマゾンカワイルカ」。そんなものがいる訳無いけれど、まさにそんなイメージ。白ではなく、ほんのりピンクがかった体色からはそれしか思い浮かばなかった。
「何かそこにいたよ!」と後輩に言って間もなく、また水面に出た。
背鰭がほとんど無いその姿を見て後輩が言う、「スナメリですよ!!」
おお、言われてみれば。
でもイメージでは純白、それほどまでに灰ピンク色だとは思い至らなかった。
その後も何度か水面に背中を出しながら泳ぎ、あっという間に沖へと消えた。
パニックに陥ったため写真は一枚もないけれど、
スナメリ(Neophocaena phocaenoides)をめでたく初見!
しかも漁港内、かなりの近距離で。
場所を葦原に移動。
到着して、しばらく車を流すと・・・
出た!
それは悠々と飛翔した後、芦原に舞降りた。
ケアシノスリ(Buteo lagopus menzbieri)
本日の目標3種目!!
第一印象、白い。
ノスリを脱色したかのような白さだった。
名前の通り、フセキには羽毛がもっさり。
チュウヒ(Circus spilonotus spilonotus)
夕暮れも近くなってきた。
本当に薄暗くなる頃には、芦原が塒入り時のチュウヒで埋め尽くされた。
ハイイロチュウヒも3羽、芦原を飛び回ったり降りたり。
コチョウゲンボウ(Falco columbarius)
オオジュリン(Emberiza schoeniclus)
出現し続ける猛禽に後ろ髪を引かれながらも、寒さに耐えかねて車に戻り、帰路についた。
こんなに充実した鳥見は久々。
誘ってくれた後輩に感謝です。
【February,2010】