ボルネオゾウ(Elephas maximus borneensis) Borneo elephant
ボルネオ2日目。ホテルのフロントに頼んでおいたモーニングコールで起きてみれば、外はまだ真っ暗な時間帯だった。
眠い目を擦りながら起き出した私は、早朝のコタキナバル空港へと向かった。
今日は始発便の国内線でボルネオ島の東、ラハダトゥへ行くことになっている。コタキナバル空港内で朝マックを食した後、コタを離れた機内で2度寝と洒落込んだ。
ラハダトゥ空港に着くと、間もなくダナンへの送迎車がやってきた。2人のマダムと同乗した送迎車の運転手は結構鳥に詳しくて、道中、出現する鳥についてあれやこれやと話が出来た。
車がラハダトゥの街を離れてしばらく走ると、辺りの景色は油ヤシのプランテーション、2次林、樹高のある原生林へと姿を変えていった。
オフロードを走ること数時間、両側を森に囲まれた道の中央に、突如として巨大な物体が立ちはだかった。
「ウソ...だろ!?」
戦慄した車内、2種類の言語で各々がそう言った。そして次に「Elephant!」。
行く手を阻むのは紛れも無い、1頭のボルネオゾウだった。
停車して動を見ていると、ゾウは道路脇のブッシュに入って食事を始めた。
ここでゆっくりとした動きでソロリと慎重に車から降りる私。野生のゾウは極めて危険な生物で、鼻で殴打されたり突進を喰らえば死に至ることもあるからだ。
姿勢を低くしながら距離をつめ、数回のシャッターを切る。
見慣れた鳥と違い、動きのあまり予測できないゾウは、気付けばまた道路に出てゆっくりとこちらに歩き出した。これはマズイと車に撤退した私の気を知ってか知らずか、ゾウは間もなくブッシュから森へと姿を消した。
ボルネオゾウに出会うのは実は2度目だけれど、これほど大きな野生の哺乳類と対峙するとピリピリとした緊張感がたまらない。
この道では夕方ならゾウとの遭遇の可能性も考えられるが、この時は真昼間。まさか出現するとは思っていなかったから嬉しいサプライズだった。
【Road to Danum Valley, Borneo, Malaysia(ボルネオ,マレーシア)/30th Dec, 2012】