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1) 冬の国から夏の国へ
2) 高枝が好きな鳥たち
3) 賑やかな海辺
4) 野生の巨大哺乳類と対峙する時
5) どこまでも続く熱帯雨林の道
6) 雲間より射す光が雨粒に当たり乱反射して
7) 晴れない空
8) 鳥の目線で見るジャングル
9) キャノピーの鳥
10) 暗い森の底を跳ねるガーネット
11) an unknown bird
12) 大樹の上の小さな住人
13) 空を斬るTreeswiftの翼
14) 密林に煌く鮮烈の青
15) シロクロのロードウォーカー
16) 咆哮するRhinoceros
17) 白翼の妖精は軽やかに唄う
18) Afternoon Birding
19) Geckos & Frogs in Danum
20) Bugs in Danum / Daytime
21) Bugs in Danum / Nighttime
22) ダナンの庭の鳥と花
23) 魔界に棲む鳥
24) サイチョウの来る公園
25) 虹の先に見えるもの
a. ミケリス(Callosciurus prevostii) Tupai Gading
b. クロサイチョウ(Anthracoceros malayanus) Black Hornbill ; Male variant
c. マブヤトカゲの1種(Mabuya sp.) Mabuya Skink
d. アカエリキヌバネドリ(Harpactes kasumba impavidus) Red-naped Trogon
e. キンバト(Chalcophaps indica indica) Emerald Dove ; Juvenile
f. オオコノハドリ(Chloropsis sonnerati zosterops) Greater Green Leafbird
g. カンムリアマツバメ(Hemiprocne longipennis harterti) Grey-rumped Treeswift
h. クロバンケンモドキ(Phaenicophaeus diardi borneensis) Black-bellied Malkoha
i. カザリオウチュウ(Dicrurus paradiseus brachyphorus) Greater Racket-tailed Drongo
j. ヒメカレハゲラ(Meiglyptes tristis grammithorax) Buff-rumped Woodpecker
k. コシアカキヌバネドリ(Harpactes duvaucelii) Scarlet-rumped Trogon ; male imm.
l. ズグロサイチョウ(Aceros corrugatus) Wrinkled Hornbill
m. ミドリコノハドリ(Aegithina viridissima viridissima) Green Iora
n. ボルネオクモカリドリ(Arachnothera affinis everetti) Streaky-breasted Spiderhunter
o. コゲチャキンパラ(Lonchura fuscans) Dusky Munia
p. ガマヒロハシ(Corydon sumatranus brunnescens) Dusky Broadbill
q. ブタゲモズ(Pityriasis gymnocephala) Bornean Bristlehead
r. ボルネオオランウータン(Pongo pygmaeus) Bornean Orang-utan
s. ナンヨウショウビン(Halcyon chloris laubmannianus) Collared Kingfisher
t. マダラナキサンショウクイ(Lalage nigra nigra) Pied Triller
u. キンパラ(Lonchura atricapilla jagori) Chestnut Munia
v. アオハウチワドリ(Prinia flaviventris latrunculus) Yellow-bellied Prinia
w. メグロヒヨドリ(Pycnonotus goiavier gourdini) Yellow-vented Bulbul
x. キバラタイヨウチョウ(Cinnyris jugularis ornatus) Olive-backed Sunbird
y. オニセッカ(Megalurus palustris forbesi) Striated Grassbird
z. コタキナバル空港 Kota Kinabalu Airport
Tanjung Aru Beach
最後の最後、コタキナバル空港にて。
帰りの飛行機への搭乗開始まであと30分。しかし、大人しく搭乗口へ向かう私ではなかった。
搭乗機へのチェックインを済ませ重い荷物を預けて身軽になった私は、カメラを持って空港を駆け足で飛び出した。
実はコタキナバル空港のすぐ前にはホテイアオイがぎっしり浮かぶちょとした水路があり、鳥が生息する環境になっているのだ。
そうはいってももう10:30。鳥があまり出にくい時間帯に差し掛かっている。
そこでピッシングをしながら早歩きで水路沿いを歩くと、ブッシュに潜行していた鳥達が様子を伺いに見える場所まで出てきた。
メグロヒヨドリ、キンパラ、アオハウチワドリ、キバラタイヨウチョウ、ヨシゴイ、ムラサキサギ、シロハラクイナ。そして磨耗しているのか眉斑がほとんど見えず、印象がガラッと違うおそらくオニセッカも飛び出してきた。
ボルネオは、私の中では一番訪れやすい海外のフィールドであり、今回の旅でこの地がより一層大好きになった。次はWhitehead'sやBandedが名前に付く鳥を見に、また近々訪れたい。
【Borneo, Malaysia(ボルネオ,マレーシア)/29th Dec. 2012 - 4th Jan. 2013】
キタカササギサイチョウ(Anthracoceros albirostris convexus) Oriental Pied Hornbill
雨上がりのタンジュン・アル・ビーチ公園は鳥の声で満ちていた。雨が上がって間もないからか、公園には私と鳥達しかいない。
騒がしいミドリカラスモドキの次に見つけたのは、何とキタカササギサイチョウのペア。
ダナンに行く前にこのビーチに寄った時、タクシーの運ちゃんが「ここだけの話なんだけどな、実はこの公園にはたまにサイチョウが来ることがあるんだ」と話してくれた。キタカササギサイチョウはボルネオに生息するサイチョウの中では唯一薄い森も採餌場に利用するタイプの鳥で、ランカウイでの経験も考慮すれば、ここタンジュン・アル・ビーチなら時間帯さえ気をつければ上手くいけば見られるかもしれないと踏んでいたのだが、まさに予想が的中した。
ミカドバト(Ducula aenea polia) Green Imperial-pigeon
高い枝にとまっていたミカドバトが、低いヤシの葉まで降りてきた。ガタイの大きなハトで近くで見るとさらに見応え十分だ。
ぐっしょり雨に濡れたカノコバトは、はじめ頸の鹿の子斑が隠れて見えず他のハトを疑ってしまったが、羽づくろいをしていくうちに段々カノコバトらしさを取り戻した。
シロハラクイナ(Amaurornis phoenicurus phoenicurus) White-Breasted Waterhen
今日も鳴きながら飛び交うコオオハナインコモドキたちを見上げていると、空をバックにした高い枝に何やら小鳥がとまっているのが見えた。よく観察すると、マダラナキサンショウクイだった。キタカササギサイチョウもしかり、朝には前回来た夕方には見られなかったメンバーが見つかり面白い。
シキチョウ(Copsychus saularis adamsi) Oriental Magpie-robin
ミドリカラスモドキに紛れて地面に降りて採餌するシキチョウやハッカチョウを見ていたら、もう9時になってしまった。たったの1時間だけだったけれど、充実した朝の鳥見が出来た朝のタンジュン・アル・ビーチ公園を、私は後にした。
【Kota Kinabaru, Borneo, Malaysia(ボルネオ,マレーシア)/4th Jan, 2013】
ミドリカラスモドキ(Aplonis panayensis strigata) Asian Glossy Starling
最終日の朝。昨日のうちにダナンからラハダトゥ、コタキナバルへと戻ってきていた私はコタキナバルで1泊した。そして今日の昼にはもう日本へ向けての飛行機に乗らなくてはならない。僅かな朝の時間はやはりタンジュン・アル・ビーチ公園で過ごすことにした。
せっかくの朝の時間帯のフィールドだというのに、丁度夜明けぐらいから強い雨が降り出した。気合を入れて暗いうちから公園に到着していた私は、雨のため誰一人散歩にも来ない公園の東屋の下で頬杖をついて雨上がりを待つ羽目になった。
8時ぐらいになり、やっと雨が上がると、食事をしようとウズウズしていた鳥達が一斉に活動を始めた。
まさに私も、この時を待っていたのだ。
メタリックな緑色の光沢を帯びた黒い体に赤い虹彩、悪の手先のようなショッキングな見た目のミドリカラスモドキ達は、落下したアブラヤシの実を奪い合うようにしてついばんでいた。
そんなミドリカラスモドキだが、よく観察していると行動パターンはムクドリそのもので、段々と愛着が湧いて来るもの。幼鳥は下面が縞々で中々綺麗でもある。
【Kota Kinabaru, Borneo, Malaysia(ボルネオ,マレーシア)/4th Jan, 2013】
シラガシキチョウ(Copsychus stricklandii stricklandii) White-Crowned Shama
ダナンバレーを発つ日の朝。今日も朝から雨降りである。
この朝はロッジ勤務のスタッフ達の居住区を歩いて林縁の鳥を探すことにした。
エンビシキチョウ、ルリノドハチクイ、コゲチャキンパラ、そして夜の間虫が集まっていた外灯の下でムナフムシクイチメドリを見た後、ロッジへ引き返した。
声真似の上手いシラガシキチョウには何度も騙されたけれど、音節の終わりの部分の乱れや声質から、もうすぐにコイツだとわかるようになった。今日も大きな声で鳴いている。
ロッジの川側にはちょっとした広場があって、草原がある。ピッシングをしながら歩くと、コゲチャキンパラ、メグロヒヨドリ、アオハウチワドリが様子を伺いに草から出てきた。
ムナオビオウギビタキ(Rhipidura javanica longicauda) Pied Fantail
オウギビタキの仲間は皆その動きが可愛らしい。名前の通り長い尾羽を扇のように広げてゆっくりフリックするのがくせで、おかげで実際の大きさよりも大きく見える。
ボルネオクモカリドリがシンポーウングの花に来たのを見ていると、ロッジのエントランスのあたりから「ヒュー、ニュー」という独特な声がしたのが聞こえた。
血相を変えた私が走っていくと、そのあたりにたむろしていたガイド達に「これは人が声真似しているんじゃないかな」と言われた。重ねて、「こんな場所にアイツが来たことなんてないよ」と。
それでも諦めきれない私は、樹冠に双眼鏡を向けて探し続ける。
「ヒュー、ニュー!ヒュー、ニュー!」鳴き声がやがて確かな臨場感を持って、それが人の声真似ではないことが皆分かるほどになった頃、私の双眼鏡の視界に頭部の赤い、ずんぐりした鳥が飛び込んできた。そう、ボルネオ固有種の鳥、ブタゲモズだ。
複数羽のブタゲモズは独特の鳴き声とともに私達の頭上の樹冠をあっというまに通過していった。
辺りに居たガイド達とハイタッチをしていると、今度は数羽のガマヒロハシが通りかかる。なんて楽しい森なんだ。
今回、1人でこのダナンを訪れた私だが、レストランで食事をしていると皆「Koh, 今日の成果はどうだった?」とか「一緒に食事しないかい?」とか声をかけてきてくれて、ぼっちな気分はすぐに紛れた。
ロッジを発つ時。中でも特に仲良くなったスウェーデン人のフォトグラファーに別れの挨拶をした私は、ラハダトゥ空港まで送ってくれるジープへと乗り込んだ。
この1週間の濃い鳥見を思い出しているうちにいつの間にか眠っていた私は、「オランウータンがいたよ」と運転手に起こされる。実は初見のオランウータンをしばし見た後、また車に乗り込む私。車が発進して、未だ眠気を振りほどけないまま半分開いた目を路肩に向けていた私は、次の瞬間、突然大声で叫んだ。「Fooded Pitta!!」 なんと走行する車の目の前、肉眼でも分かるほどの近さをズグロヤイロチョウが飛んで横切ったのだ。今まで眠そうにしていた私がいきなり騒ぎ出したので運転手や同乗者をさぞ驚かせてしまったことだろう。しかし最後の最後にズグロヤイロチョウが見られるなんて...一番驚いていたのは私だった。
シンポーウング(Dillenia excelsa)
ツノマタタケ(Guepinia spathularia)
【Danum Valley, Borneo, Malaysia(ボルネオ,マレーシア)/3rd Jan. 2013】