関東以西~九州に分布する、センブリの仲間
日当りの良い草地に生育するが、草地の中の裸地に多く自生している印象がある
長崎県では、作業道脇の裸地に沢山のムラサキセンブリが自生していた場所があったが、ススキの侵入により全く見られなくなった
今回、由布岳近辺で、小さな裸地に自生していたムラサキセンブリを確認してみたが、すっかり草に覆われてムラサキセンブリの姿は見られなくなっていた
ムラサキセンブリの自生する草原は、人により管理された場所であるが、その管理手法の変化はムラサキセンブリの生育に大きく影響を及ぼす
草原の環境維持に多く用いられる野焼きや刈取りから、放牧へ管理手段を変更した事によりムラサキセンブリ個体群の著しい衰退を招いた事例が報告されている
植生の変化として、不食木本類の定着拡大が進み、木本種の被度が増大するとともに、シダ類やツル性植物の割合も増加していた
これらの影響で、下層の光条件が悪化し、丈の低いムラサキセンブリの生存に不利な環境へ変化してしまったようだ
私の個人的な感想ではありますが、昨今の温暖化の影響なのか、草原の藪化(丈の高い植物の繁殖)が顕著で、競合に脆弱な希少植物が生育しがたい環境に変化してきているように思えます
また、自然度が高い草地へ、セイタカアワダチソウ等の繁殖力の強い外来種が侵入し、在来の希少種を駆逐しまった事例も見ている
いづれにしても、人が適切に管理する事により、希少植物を保全する事は可能なのだが、昨今の担い手不足、高齢化は如何ともしがたく、草原は荒れていく一方なのかもしれない
セイタカアワダチソウの侵入により壊滅したノヒメユリの大群生地
学名:Swertia pseudochinensis H.Hara
和名:ムラサキセンブリ(紫千振)
リンドウ科 センブリ属
環境省準絶滅危惧種
撮影 2022年10月 大分県
初版 2013年10月14日
記事アップロード 2022年10月26日
画像アップロード 2022年10月24日