to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

3時10分、決断のとき

2009-08-28 23:46:12 | the cinema (サ行)
心に秘めた生き様に
男は静かに命を賭ける。

原題 3:10 TO YUMA
製作年度 2007年
上映時間 122分
監督 ジェームズ・マンゴールド
出演 ラッセル・クロウ/クリスチャン・ベイル/ローガン・ラーマン/ベン・フォスター/ピーター・フォンダ/ヴィネッサ・ショウ/アラン・テュディック/ グレッチェン・モル

1957年公開の異色西部劇『決断の3時10分』のリメイクで、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のジェームズ・マンゴールド監督作品。
地主からの嫌がらせで、馬小屋に火を放たれたダン・エヴァンス(クリスチャン・ベイル)一家。営んでいる牧場の生活は苦しくなる一方で、ダンと家族の溝は深まっていた。そんな折、卑劣な悪事を繰り返すベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)が逮捕され、3日後の3時10分発の汽車でユマの刑務所へ連行されることに。危険な道をたどるウェイドの護送を、ダンは男の誇りに懸けて引き受ける。

リメイクで西部劇?ってどうよ、、と、鑑賞予定ではなかったんですが、信頼するブロガーさんが高評価でしたので、
急に観たくなりました~
で、コレは良かった
テーマが、私好みでした~。オリーブリーさんポーさんありがとう♪観てよかった!


対照的な境遇に生きる2人の男―
極悪非道な罪人と、金と正義の名目で彼を護送する男。
その二人に訪れる過酷な3日間、奇妙な心通うひと時・・・

このところ、主演でありながら助演俳優に美味しいところをさらわれてしまっている感のクリスチャン・ベイルが
コレは良かったです
役作りで太ったはずのラッセル・クロウもその体系が戻るのか、心配なところでしたが、この作品で見る限り荒野を疾走するのに違和感なし

かつての狙撃の名手も今は、南北戦争で片足を負傷し不自由となり
愛する妻や息子にいいところを見せられない借金苦の牧場主のダン。
そんな折、滞った借金返済を迫られ、みせしめに馬小屋に火をつけられる。
窮したダンは町へ向かう途中で凶悪強盗のボス、ベン・ウェイドの逮捕に一役買ってしまい2人は出会った!

美しい妻と賢い2人の息子。
しかし、乾いたアリゾナの牧場は上手くいかず、幼い次男は病弱。返す当てのない借金は嵩んでいく。
・・・こんな筈ではなかったダンの人生―。

そして出会ったベンは、全てを見透かしたように、
強奪した大金をやる代わりに見逃せともちかける。
悪党ではあるが、懐の深さと冷酷で素早い判断が妙に人を惹きつける。
・・・失うものなどなかったベンの人生―。

高額な報酬を正当に、誰にも恥じることなく手に入れるために命を賭けるダン。
その彼に、命を賭けずとも目をつぶってくれればその数倍もの大金をやろうと持ち掛けるベン。
悪人を捕らえている側の方が命の危険を冒しているという状況が、
より緊迫していて飽きさせない。

執拗にボス奪還をねらってくる部下のチャーリーたちの追跡や、
緊迫感あふれる少年の目を持って、護送に加わるダンの息子ウィリアムの存在が
このドラマの主役2人の駆け引きにサスペンスを与えていて、
クライマックスの3時10分を迎えるまで気が抜けません。

父として、夫として、何より男として、頑なに見えるダンが本音を語る時、
本当に欲しいものなど何もない、余裕のベンもある決断をする―。


人生を賭けて取り戻したい男の誇り。
不運な男のつぶやきに、胸を熱くさせられます。クリスチャン・ベイルにやられます。
ユマ行きを逃れたいはずの、
仲間が必ず自分を取り返しに来ると確信している筈のベンがなぜかダンに特別な興味を示す。
自分の人生にないものを背負っている男に―。
この辺りのラッセル・クロウが実にいい。・・・カッコいいのです。

そしてその時はやってきます。
これは男と男の物語であり、父と子の物語でした。

ばりばり西部劇でありながら、どこか日本の時代小説の浪人物を思わせる、男のドラマ。
藤沢周平とか、山本周五郎の小説で泣いた、あの感じなのです。



ダンの長男、ウィリアムが父にその視線を送る度、拳に力が入りました・・・
これから注目していきたいローガン・ラーマンくん、とっても良かったです