to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

BOX 袴田事件 命とは (舞台挨拶)

2010-05-29 22:59:14 | the cinema (ハ行)
公式サイト
あなたなら、死刑といえますか?
上映時間 117分
脚本 夏井辰徳/高橋伴明
監督 高橋伴明
出演 萩原聖人/新井浩文/葉月里緒奈/村野武範/保阪尚希/ダンカン/國村隼/塩見三省/岸部一徳/吉村実子/大杉漣/石橋凌

1966年に実際に起きた「袴田事件」を基に、人が人を裁くということの難しさを描いた社会派ドラマ
昭和41年、放火された静岡県清水市の味噌工場から、刺殺された一家4人が焼死体で見つかるという事件が起きる。立松刑事(石橋凌)は元プロボクサーの従業員袴田(新井浩文)に目を付け、容疑者として逮捕するが物証はとぼしかった。裁判官として静岡地方裁判所に赴任した熊本(萩原聖人)は、主任判事としてこの事件を担当することになる。

銀座シネパトス舞台挨拶付きの回、観てきました。
その前に、、。本作は死刑判決が確定している実在の事件を題材にした作品であり、
この作品のきっかけとなったのは、当時無罪の確信をもちながら主任裁判官として、死刑の判決文を書かざるを得なかった元裁判官の告発に端を発した、
司法のあり方を問い、(陪審員として)命に関わる全ての人に向けられたドラマです。

銀座シネパトスは、ご存知の方も多いと思いますが、ある意味環境は最悪です。
銀座とは思えない場末感、電車の音、独特の臭い。それでも、
以前、「今日からヒットマン」の時、本当に武田真治くんが?で、「舞台挨拶がコチラであったんですか?」と映画館の方にお聞きしたら、「はい、大盛況だったんです~。」ととても嬉しそうに教えて下さったので、本当にびっくりしたのです。
が、渋谷のユーロスペースよりも時間的に余裕があったので、コチラにしました。

登壇者は高橋伴明監督、萩原聖人、新井浩文、石橋凌さん。
上映後の挨拶とあって、監督の開口一番はこんな重くて暗い映画に、こんなに暖かい拍手で迎えて下さってありがとうというものでした。
劇場の大きさもあるかも知れないけど、コチラの拍手の方が大きくて温かい(笑)と。
実際、心からの力強い拍手であったのは確かでしょう。
そして本作は、『2010年 モントリオール国際映画祭』のコンペ部門に正式出品が決定しており、高橋監督は
「『おくりびと』、『ヴィヨンの妻』に続けるのかというところに関心が行くとは思うけど、このようなメッセージ性が強い映画を選んでくれたことを、今は嬉しく思います」と仰っていました。
主演の萩原さんは、「本日封切の沢山の作品の中からこの作品を選んで下さって、有難うございます」の後、
監督の独自の(モニターのところに座っていない。カメラの横に居る)スタイルに、緊張と共に満足感もあったこと、
新井浩文さんは、終盤の演出に、自分の意見が監督に取り入れられたこと、
石橋凌さんは、先の「ユーロでは3つ程モノが飛んできましたが、、」と笑いを取っていらっしゃいましたが、「時代のせいにして流されてしまうのでなく、間違いを犯す人間としての役作りを心がけた」というような事をお話されました。

そして、出演者全員が、作られるべき作品との思いで作ってきましたとの監督の言葉に大きく拍手と声援が飛んでいました。


    
これは、今なら考えらない稚拙な捏造と見られる物証と、過酷な連日の取調べの果ての自供だけで、
その検証もないままに死刑が確定するまでを描き、
それを止められなかった前途ある裁判官の、苦悩の日々を映し出すことによって、
いつ私たちに届くか知れない、陪審員への召集に、心の準備は出来ているのか?人を裁くことがどれほどのことなのか?
ちゃんと考える機会を与えてくれるものです。

ぴあの出口調査で、ここ数年で、初めての高評価をつけました。
観るべき作品であると思いましたから

渋谷ユーロスペース舞台挨拶の記事    

「春との旅」「告白」と、既に鑑賞済みですが、コチラの作品が先になりました。
DVD感想も溜まってしまっていますので、簡単に、近日中に
コメント (10)
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