原題 THE SECRET SCRIPTURE
上映時間 108分
製作国 アイルランド
原作 セバスチャン・バリー
脚本 ジム・シェリダン/ジョニー・ファーガソン
監督 ジム・シェリダン
ルーニー・マーラ/ヴァネッサ・レッドグレーヴ/ジャック・レイナー/テオ・ジェームズ/エリック・バナ
アイルランドの古い精神病院、聖マラキ病院。取り壊しが決まり、患者たちは新たな病院に転院することになるが、ただ一人老女のローズだけはここを動こうとしなかった。彼女は自分の赤ん坊を殺したとの罪で40年間もこの病院に収容されていた。そんなローズの問診をすることになったグリーン医師は、彼女が一冊の聖書に自らの人生を書きつづっていることを知り、彼女の語る過去に耳を傾けていく――。
第二次世界大戦中、故郷の田舎町で暮らしていた若きローズは、男たちの注目の的だった。中でも神父のゴーントはしつこく付きまとっていた。そんな中、イギリス空軍に志願したことで裏切り者と白眼視されていた青年マイケルと恋に落ちるローズだったが…。
若きローズは英国領の北アイルランドで育ったプロテスタント。
一方、引っ越し先の叔母のいるアイルランドは、中立国とはいえカトリック国。
彼女はアイルランドでは少数派のプロテスタントであり、物怖じしない態度と美貌で、
カトリック系武装組織アイルランド共和軍(IRA)の地元グループに目を付けられていく―。
中でも本来神父に向いているとは思えない、ゴーントに一方的に執着され追い回される過程は
今でも大なり小なりあるといえる犯罪。でも、当時はパワハラやストーカー規制法などなく、
意のままにならないローズは、意に反して敵を増やしていく…。
というか、、、
今も続く世の争いの全てがこのドラマに詰まっている。
閉鎖的な片田舎の、厳格なカトリックの価値観を重んじたアイルランドの時代背景もあるにせよ、
宗教、思想、階級の違いによる差別。
権力の乱用…―女性蔑視。。。男が決める社会――。
怖くて憎い、女の敵を演じたテオ・ジェームズが印象的。
原作ではゴーント神父はもっとお爺さんだったのを変更したらしいですが、
歪んでいてもそれもまた一つの愛だという説得力は、彼の容貌も作用したのでは?
結構早い段階で結末は予測出来るけれど、
つかの間の幸せを心に刻み生きてきたローズの40年に、母親ならずとも
心が揺さぶられます。
他者を支配したいという欲が叶えられなかった時、
それが権力を持った者であったという悲劇。
40年の拘束は別としても、犠牲になる人は男女を問わず現在もいる、きっと。
公開劇場、上映回数が少ないのもあってか激混みでしたが、観て良かったと思えた作品
テオ・ジェームズって「ダイバージェント」とかアクション系映画が多かったので、これは珍しいタイプの作品ですね。「テオ!」じゃなくて「てい!」と叱ってあげたい。(ミヤ蝶美・蝶子の漫才を参照)
悪意とか欲とか、それが権力者の側にあると、
こんなにも恐ろしいことになる。。。
時代は変わっても、こういう宗教絡みの差別や諍いは今なお世界の紛争の種。
本当にどうにかならないかと思いますね。
テオ、怖すぎたけど「てい!」(笑)