あらぐさ(雑草)のこころ

(備忘録)真実は見えないところにある

2023/10/01

2023-10-01 08:10:27 | 日記
Hiroshi B.Matsuura

*【#トンデモ】「日本ユダヤ同祖論のデタラメ」

... 日本において最初に日ユ同祖論を唱えたのは、日本人ではなく英国人である。スコットランド出身の商人だったニコラス・マクレオッド(Nicolas McLeod, 1868-1889)だった。

その著書『日本古代史の縮図』(1875)において、イスラエルの失われた十支族の伝説もとに、天皇家の人々とユダヤ人富豪の顔立ちとの類似などの直感的観察と伝統的習俗の類似から、古代日本には、アイヌ民族や小人族の他に、神武天皇に率いられたパレスチナから渡来した十支族がいたなどと主張していた。

また、日本に最初にイスラエルの失われた十支族の伝説をもたらそうとしたのは、ハンガリー系ユダヤ人でプロテスタントに改宗し、幕末の沖縄で医療活動に尽力した宣教師のベッテルハイム(Bernard Jean Bettelheim, 1811-1870)である。同じ目的でフランスからやって来たフォルカード神父(Théodore-Augustin Forcade)の「琉球日記」には、ベッテルハイムへの言及が繰り返し見られ、1846年7月6日付の日記には、同僚のルテュルデュ師からの書簡(7月4日付)には、ベッテルハイムが「もしできればイスラエルの十部族について調べてほしい」と言っており、「彼からヨハネによる福音書の日本語訳12部と十部族についての英語の論文が届きました」という記述が見られた。

日ユ同祖論を日本で最初に論じたのは、ネストリウス派のキリスト教(景教)の研究で世界的に有名な佐伯好郎(1871-1965)である。佐伯は、英文序を付した『景教碑文研究序論』のなかで、京都太秦の大闢神社の「大闢はダビデ David 支那字なり」として、太秦はウツマサとも読み、ウツはイエスを、マサはメシアを意味するなどと論じた。しかし、ユダヤ教にもキリスト教にも関心が薄い明治期の日本人が佐伯の話に注目することはなかった。

マーヴィン・トケイヤー師は、『聖書に隠された日本・ユダヤ封印の古代史』(1999)において、「佐伯教授の研究と、先に述べたアサヘル・グラントの『景教徒はイスラエルの失われた部族であった』という主張を考え合わせると興味深い」としているが、もちろん、この日ユ同祖論は佐伯の作り話である。

晩年佐伯は、良心の呵責からだろうか、歴史家で弟子の服部之総に「太秦を論ず」の裏話を「旧刊案内」(『原敬百歳』所収)という随筆のなかで、以下のように語り、弟子の服部を仰天させた。

「明治三十八年、三十五歳、法政大学時代の先生が、北海道開発を思い立ったときのことである。在来の、日本的に矮小な開発計画では駄目だ。ユダヤ人の大資本を導入してやろう。それにはユダヤ人の注意を日本に向けさせる必要がある。(…)アメリカとカナダに五年留学した先生が、ユダヤ資本を日本に導入する志をたてて、そのために打った第一着手が大泰氏=猶太人の着想であった」

服部は、同じ記事のなかで、「キリストは青森県に、モーセは石川県に、ヨセフは神奈川県に、釈迦は長野県に、おのおのその肉体を埋め、この驚くべき事実の世上への発表をまっている」と称する山根菊子の「おそるべき本」(『光は当方より – キリスト日本往来の史実』1938)に言及し、佐伯の着手した功利的な「企業」の発展について慨嘆している。

佐伯本人が説明しているように、「秦氏=ユダヤ人」説は、ユダヤ資本を引き出すための作り話なのだが、この佐伯説は、戦後手島郁郎(1910-1973)が創設した習合主義的な新キリスト教派「キリストの幕屋」に受け継がれ、手島が1971年(昭和46年)に刊行した『太秦ウズマサの神 – 八幡信仰とキリスト景教』(東京キリスト聖書塾)に見られる、民族主義的なシオニズムの神学に受け継がれることになった。

日本におけるユダヤ人観の変遷を扱う著作のなかで、宮澤正典は、佐伯など「明治の第一世代で、神学もユダヤ人観もかれらが生きなければならなかった時代の緊張とジレンマに対応する形でつくられていった」と適切な指摘を行っている。

同祖論というのは、大陸の優れた文化に劣等感を持つプロテスタントの聖職者たちによる「より長い歴史を持ちたい」という欲望にかなった発想で、それゆえ、フランスなど文化の高い国には存在せず、濃厚に存在する特異点は、米英と日本です ... フランス人やイタリア人は「自分たちの文化が優れている」ことを自他共に認めているので、こんなインチキをする必要がないのです。
同祖論は、大陸の優れた文化国家(フランスや中国など)から見下されて来た英国や日本の「ごまめのはぎしり」が生んだ妄想なのです ...「うっ〜くやしい〜、もうユダヤ人の歴史とくっつけちゃおう」というトンデモ歴史論です。

フランスに「ウルトラモンタン」(山の向こう主義)という言葉があるように、カトリックは国境越境的ですが、プロテスタントは当初から各国のナショナリズムと結びつく傾向があり、この「同祖論」のトンデモと日本のナショナリズムを折衷したのが戦前のホーリネス教会です … ホーリネス教会は自分たちが戦時中に迫害されたことばかり強調していますが、中田重治師は、陸軍の同祖論者の安江仙弘中佐との共著があり、皇軍の大陸侵攻を積極的に擁護しました。それを鼓舞したのが大陸を西漸し最終的にはパレスチナのシオニズムと結びつこうという壮大の「同祖論」の妄想です。

いま一番凶暴な電波を発信しているのが、元「新しい歴史教科書をつくる会」会長のおっさん久保有政です!

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この原理主義の牧師は、理性が通じる相手ではないので、放置するしかありません(笑)。

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