今年も始まったばかりの一月に日本を揺るがす大きな事件が起きていた。昨年来イスラム国に捕われていた日本人二人が一人は殺害され、一人は交渉中のため真偽の分からない状況が続いている。この時期に戦争地帯に行くこと自体が間違っているとはいえ起きてしまったことは仕方ないのだが、ここで問いたいのは日本の政府の外交実力がどれだけあるのかと言うことが試されているのだろうと考えるのです。今まではイスラムと言う遠い外国の宗教を中心とした国々が勝手に戦争をしていると言う、対岸の火事が火の粉ではなく直火が降って来たのである。
思い起こせば北朝鮮の拉致問題も一向に解決せず、先方の言いなりに回答をお待ちしますと言う姿勢、昨日の報道で朝鮮総連のビルも賃貸が出来るようになるとか、ここには政治家が介在したようであるが、これで北朝鮮の心証が良くなって拉致問題が進展すればこれはこれである種外交の勝利なのかもしれないが、何も情報がないところで全てが動く世の中になってきたような気がする。恐らく秘密保護法の故に今後も何も出てこないかもしれない。
ところでイスラムだが、この問題は対症療法では駄目で根本を解決しなければ、未来永劫戦争状態が続くことになるという認識を持たなければ解決はしないだろう。そして何よりも彼等の歴史を知ることに尽きる。報道などでは今の国境線を敷いた第一次世界大戦後の英仏の責任を問うているが、私はそれだけではなくもっと遡って理解をしなければならないと思っている。それは一気に紀元前まで遡るのである。キリスト教もそうだが、イスラム教も一神教であり唯一絶対の神への信仰は彼等の生きる糧なのだ。
これらを理解するには旧約聖書を読めば大体の事は理解できる。すなわちイスラムはユダヤ教とほぼ同じ戒律を持っているからだ。キリスト以前の旧約聖書は神話的なこともあるが、天地創造の部分を除いてはほぼ歴史上の人物や習俗、習慣など現代に通ずる常識、非常識が読み込めるのだ。イスラム国が言っている『目には目を、手には手を』の法則もハムラビ法典にあるのと同じことが聖書に書かれているのだ。奴隷制度も然り、戦争で勝った方が負けた国民を奴隷にするという、彼等にとってはいわば昔の法典に沿った行動をしているのだと言う理論なのだ。
中東地域で国民の父と言われたのがアブラハムで、今のイラクのウルで生まれ神の啓示によりイスラエルに移住してきた。そこで神との契約(旧約)がなされ、カナンの肥沃な土地を彼に約束をしたのだ。しかし生まれた長子イシュマエルは母が奴隷の為、長子の権利を後から生まれたイサクに取られ東の方(アラビア方面)に追いやられてしまう。又イサクの長子エサウもヤコブにその権利を取られてしまう。つまりユダヤ民族はアブラハム、イサク、ヤコブの血統であるのだが、他の追いやられたイシュマエル、エサウの末裔が所謂イスラムになっていったので、基本ユダヤ民族(ヤコブから分かれた12部族)とはある種恨みが連綿と続いていると言う認識を持たねばならないということだ。
翻って日本の対応はどうすれば良いのか、政治家たちにもっと歴史を学んで(当然近代史も)、戦争を起こさせない日常の人間としての付き合いをし、お互いの理解を深めておくことが大事なのではないか。駐在大使館ではあまり現地人と付き合わず日本人商社マンの情報で本国に報告をしていると聞いたことがあるが、現地の人達の中に入って、その生活の中からお互いを理解し会えることが出来るようにすべきである。
こんな人質事件が起きればアベチャンはチャンスとばかりに軍事力や秘密保護法などで国民を締め付けてくるだろう。自衛隊には国内の災害派遣のような人助けに海外に出て行き、感謝される軍隊になってもらいたいものだ。
時間のある方は旧約聖書のダビデの物語かソロモンの物語くらいまで読まれると面白いと思いますのでお勧めいたします。