なんとも生きづらい時代ではある。
齢七十五になって、そう思う。
しかし、生きている限り、嘆くばかりで
はいられない。
自分に何が可能か。
試してみたくなる。
いじめは日常茶飯事。
おさな子が親に虐げられるにいたっては
何をかいわんやである。
最近はとみに涙腺が弱くなってしまい、
そんな話を聞くと、たまらなくなる。
みっつやよっつの子でも、親は親。
ぶたれようが、蹴られようが、親を信じ
てついていこうとする。
その子の心の内を思うと、いたたまれな
くなってしまう。
「そんなに虐げるのなら、決して生むべき
ではなかった」
声を大にして、訴えたい。
いつだったか、こんな事件があった。
学校に刃物を持ち、男が侵入した。
生徒を追いかけまわし、手当たり次第に
ふかでを負わせた。
致命傷を負いながらも、一歩二歩と歩き、
ついに力尽きた子もいた。
大阪で起きた事件だった。
秋葉原で起きた事件をおぼえておられる
方がたくさんおられることだろう。
地方から中年男がトラックに乗り、上京。
人でにぎわう大通りにしゃにむに突っ込
んで行き、道行く人を次々にはね飛ばした。
車が使えなくなっても、男はその場から
逃走しようとはせず、持参した刃物を、思
う存分ふるうありさまだった。
少年Aの事件をご記憶だろうか。
ある小学生の男子の首をすっかり切り取っ
てしまい、それを、彼が通っていた小学校
の校門の上にさらした。
犯人がなんと中学生だった。
被害者のご家族の悲しみはいかばかりか。
少年心理について、数多くの学者が意見
を述べられているのを耳にしたが、どれも
的を得たものとは思えなかった。
鬼の仕業と言うしかない。
人の世が汚れに汚れてしまい、もはや自
浄作用を失くした時、鬼が何処からか、こっ
そりしのびこむ。
「我々だけが正しい」
そう思い込んだ時にも、悲劇が起きる。
むかしの内ゲバ、地下鉄サリン事件を少
しふりかえってみるだけで、わかる。
表情が誰もかれも同じようで、口をつい
て出る言葉も一様である。
人間は動物である。
だが、精神を持っている。
考える機能を有しているのだ。
この働きを充分に使わない手はない。
「初めに言葉ありき」
「世界を創った言葉は人間を創る」
その実用性、コミュニケーションの手段
としてのみ、言葉があるわけではない。
「言葉そのものが価値なのだ」
ひとつの水槽に、入るめだかのかずは知
れている。
許容量がある。
一定程度以上に増えると、めだかがおか
しくなってしまい、共食いを始めたりする。
人の世も同様であろう。
ロシア軍が侵攻したウクライナの惨状。
眼を覆い、耳をふさぎたくなる。
西側と東側の体制の違い。民主主義と全
体主義などなど。
長年にわたる紛争の種がとうとう芽を出
し、次々に葉をつけ始めた。
戦火は広がりつつある。
永らく中東でくすぶり続けていた負のエ
ネルギーも、ついに火山のごとく爆発した。
イスラエルとパレスチナの争い。
大人も子供もない。
どちらかが消滅するまで続くように思わ
れる。
憎しみが憎しみを生む。
もはや誰もその火を消すことができまい。
燎原の火のように燃えさかる寸前だ。
テレビの中の世界にとどまらない。
もうすぐわれわれの身近に迫ってくる。
戦争の時代を生きることになる。
それでも、その中で、一個の人間として
善く生きることである。
言葉を正しく使うことだ。
齢七十五になって、そう思う。
しかし、生きている限り、嘆くばかりで
はいられない。
自分に何が可能か。
試してみたくなる。
いじめは日常茶飯事。
おさな子が親に虐げられるにいたっては
何をかいわんやである。
最近はとみに涙腺が弱くなってしまい、
そんな話を聞くと、たまらなくなる。
みっつやよっつの子でも、親は親。
ぶたれようが、蹴られようが、親を信じ
てついていこうとする。
その子の心の内を思うと、いたたまれな
くなってしまう。
「そんなに虐げるのなら、決して生むべき
ではなかった」
声を大にして、訴えたい。
いつだったか、こんな事件があった。
学校に刃物を持ち、男が侵入した。
生徒を追いかけまわし、手当たり次第に
ふかでを負わせた。
致命傷を負いながらも、一歩二歩と歩き、
ついに力尽きた子もいた。
大阪で起きた事件だった。
秋葉原で起きた事件をおぼえておられる
方がたくさんおられることだろう。
地方から中年男がトラックに乗り、上京。
人でにぎわう大通りにしゃにむに突っ込
んで行き、道行く人を次々にはね飛ばした。
車が使えなくなっても、男はその場から
逃走しようとはせず、持参した刃物を、思
う存分ふるうありさまだった。
少年Aの事件をご記憶だろうか。
ある小学生の男子の首をすっかり切り取っ
てしまい、それを、彼が通っていた小学校
の校門の上にさらした。
犯人がなんと中学生だった。
被害者のご家族の悲しみはいかばかりか。
少年心理について、数多くの学者が意見
を述べられているのを耳にしたが、どれも
的を得たものとは思えなかった。
鬼の仕業と言うしかない。
人の世が汚れに汚れてしまい、もはや自
浄作用を失くした時、鬼が何処からか、こっ
そりしのびこむ。
「我々だけが正しい」
そう思い込んだ時にも、悲劇が起きる。
むかしの内ゲバ、地下鉄サリン事件を少
しふりかえってみるだけで、わかる。
表情が誰もかれも同じようで、口をつい
て出る言葉も一様である。
人間は動物である。
だが、精神を持っている。
考える機能を有しているのだ。
この働きを充分に使わない手はない。
「初めに言葉ありき」
「世界を創った言葉は人間を創る」
その実用性、コミュニケーションの手段
としてのみ、言葉があるわけではない。
「言葉そのものが価値なのだ」
ひとつの水槽に、入るめだかのかずは知
れている。
許容量がある。
一定程度以上に増えると、めだかがおか
しくなってしまい、共食いを始めたりする。
人の世も同様であろう。
ロシア軍が侵攻したウクライナの惨状。
眼を覆い、耳をふさぎたくなる。
西側と東側の体制の違い。民主主義と全
体主義などなど。
長年にわたる紛争の種がとうとう芽を出
し、次々に葉をつけ始めた。
戦火は広がりつつある。
永らく中東でくすぶり続けていた負のエ
ネルギーも、ついに火山のごとく爆発した。
イスラエルとパレスチナの争い。
大人も子供もない。
どちらかが消滅するまで続くように思わ
れる。
憎しみが憎しみを生む。
もはや誰もその火を消すことができまい。
燎原の火のように燃えさかる寸前だ。
テレビの中の世界にとどまらない。
もうすぐわれわれの身近に迫ってくる。
戦争の時代を生きることになる。
それでも、その中で、一個の人間として
善く生きることである。
言葉を正しく使うことだ。