油屋種吉の独り言

日記や随筆をのせます。

態度がこころだ。

2022-05-12 18:45:20 | 随筆
 こうして物語を紡いでいると、登場人物のこころの内にもっと踏み込むことはでき
まいかと思うことがしばしばである。

 むろん物語は、作りごと。
 現実に、彼あるいは彼女が、この世に存在しているわけではない。

 力を尽くして、考えに考え、それぞれのキャラクターを造りあげる。
 それしか方法がない。
 肉眼で見ることができないのだから。
 いやたとえ、見えたとしても、本当のところをとらえるのはむずかしい。

 見えるものと、見えないもの。

 夢や言葉は物のように存在してはいないけれども、ある。
 (ひょっとしたら、幽霊だって……)

 人が今、一体、何を思い、考えているのか。ほんとのところは、判りようがないよ
うに思える。
 しかし、想像することでおおよそのことは察しがつく。

 たとえて話すと、わかりやすい。
 今、全世界の人々がロシアの大統領のプーチンさんのことを考えている。
 一体、彼はどうしたのだろう。
 どうして、あんなむごいことができるのだろう。

 それは、日々、テレビを観ていたり、実際に彼がやっていることを観察すれば、お
およそのことはわかる。
 戦車やミサイルを駆使し、隣国ウクライナを侵略、そこに住む人々を戦車でひき殺
したり、彼らの住居に砲撃したりしている。

 プーチンさんの態度からは、思いやりとか優しさといった気持ちが伝わってこない。
 その片鱗さえあれば、こういった事態が起きることは、当然なかった。

 「思いや考えが現実をつくっている」

 そうおっしゃった、我が国の女性哲学者池田晶子氏がおられた。
 残念ながら、彼女は15年前に亡くなられた。
 生きておられたら、今回のロシアによるウクライナ侵攻を、どのように語られたで
あろう。

 国家は、人が暮らしていくのに便利なように作り出されたもの、すなわち一種の作
りごとである。

 たまたまそこに生まれたから、日本人とかロシア人と言うだけのことである。
 作りごとのために、戦争するなんてまったく愚かである。
 個人の争いなら、けんかしてるで済むだろうが、集団になるとひどいことになる。

 「今や第三次世界大戦のさなかである」

 ある外国の政治評論家は、今日の事態をそうとらえる。
 二月下旬、突如として、プーチン大統領率いるロシア軍がウクライナに侵攻した。
 数年前、新ロシア派の人々を助けるとの名目でクリミア半島に侵攻し、またたく間
にロシアに併合したのとほぼ同じやり方である。
 違ったのは、特別軍事作戦といい、戦線をウクライナ全土にひろげたことだ。
 これに対し欧米はウクライナを支援、多量の軍事物資などを供給しはじめた。

 おだやかな暮らしが、突然、奪われてしまったウクライナの人々の嘆きはいかばか
りであろう。
 誰もが、他国の人々の生活を踏みにじることなどできない。
 どんな理由があろうともである。

 現実であろうが、絵空事であろうが、物事を観察し、認識するのは、じぶん自身
である。
 じぶん自身の感性に基づいて、じぶんの想像のつばさを全力で羽ばたかせてみよう。

 地球上に存在するヒトはみな、こころの奥底でつながっているのだから。

 「初めに言葉ありき」
 人間が言葉を語っているのではなく、言葉が人間において語っているのだ。
 言葉はそれ自体が宇宙である。

 言葉が人間をつくる。
 
 プーチンさん、反省するに遅いということはありませんよ。
 即刻、侵攻を止めてください。

 人を喜ばすことで、じぶんも幸せになれるのですもの。
コメント (1)
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