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1968年の女装美青年②~濃い目のルージュを塗り終わると、鏡の中にいるのは、別人のような美女である。 〈これがぼく!〉 安雄は、感動していた。

2023年08月07日 | ★女装の本・雑誌
承前です。
1960年代、ハワイ旅行は夢の夢でした。
しかし富豪の3男である安雄は旅することができます。
そしてそこで知り合った建築家・ウィリーに安雄は女装させられます。


ウイリーは、彼を半裸にして、自分から入念な化粧をほどこしはじめた。
下地をつくり、目ばりを入れる。
眉墨を刷く。
もともと美男子であった藤島安雄は、たちまちにして綺麗な女性の顔にと、変化していった。
濃い目のルージュを塗り終わると、鏡の中にいるのは、別人のような美女である。
〈これがぼく!〉
安雄は、感動していた。
まるで嘘のようであった。

ウイリーは、恍惚として彼を眺め、
「カツラをかぶるかい?」
「ええ、喜んで!・」
彼は、声を弾ませた。
ウイリーは、大きなトランクを持ち出して来た。
「これはね、ぼくの財産なんだ!」
白人の建築家は言った。
「というと?」
「開けてみたまえ」
ウィリーは微笑する。
トランクの中には、いろんな女性用品がはいっていた。
ブロンドや、ブルネットのカツラ。
さまざまな飾りのついたパンティ。
色の鮮やかなブラジャーや、スリップ。
白、赤、黒のエナメルのハイヒールが三足あり、いずれも新品であった。

安雄は、ブロンドのカツラを、ためらうことなく頭にかぶった。
「美しい! 女、いや、それ以上だ」
ウイリーは、彼にブラジャーをつけ、ストッキングをはくことを要求した。
「靴も、はいてくれないか……」
 ウイリーは言った。
 ハイヒールは少し大きかったが、鏡の前にたたずんだ安雄は、それこそ、うっとりとなる。
〈ああ! 女になった〉
彼は、そう叫んだ。

股間の邪魔なものがなければ、文句なしに女である。
安雄は、そんな姿で、ウイリーの愛撫をうけた。
生まれて初めての体験だけに、刺激もつよく、興奮はいやが上にも増すばかりである。
藤島安雄はそのとき、外国へのがれて来た甲斐があった……と、しみじみ思ったのである。

出所『美男奴隷』(梶山季之)




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コメント (2)
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