今日の昼、池袋で会議でした。
お昼には終わり「さあ帰ろう」とビルを出ようとしたところ、ザァァァァァと土砂降り。
こりゃいかんと、ビルの喫茶室で雨宿りしていました。
これまで私たちが経験していた夕立とは異なります。
東京とマニラはこの夏、同じ温度といいますから、熱帯のスコールといった方がよいですね。
今日も『風俗奇譚』昭和49年4月号の「女装愛好者の部屋」からです。
昭和時代、JRは国鉄といって三公社五現業といって国営でありました。
その労働者はよくストライキを行っていました。
49年にもストがありました。
そのストで会社が休みとなった麻美さんは、思わぬ休日に女装ライフを楽しみました。
★わたしのある一日
非難攻撃されたゼネストも、時にとっては救いの神です。交通機関が全部ストップでは、そうでなくとも会社をサボリたいわたしには、絶好の口実です。
朝から浮き浮きした気分で、部屋のおそうじやら洗たくに精が出ます。アッ、いけない、わたしったら、昨夜のままのネグリジエ姿だもの。
‘
お風呂に入り、ゆっくりお化粧です。お天気がいいせいか、気分がいいせいか、今日はお化粧の仕上がりに満足して、さあ近くのマーケットにお買い物にでも出かけましょう。ドアを明けて廊下に出たとたん、隣の人とばったり顔が合いました。ハッと緊張するわたしと反対に、女姿のわたしに不思議そうな表情も一瞬で、すぐ笑顔を見せてくる。昨年、大学生になったばかりの童顔の残る坊やです。
線路沿いに歩きます。ストで電車の通らない線路を、子供が格好の遊び場にしています。若いアベックも温かい日ざしに楽しそう。とんだストの恵みです。
その風景を横目に見てマーケットに入り、驚きました。ここはストどころか、休日並みの混雑です。ストで行き場のない人がショッピングを楽しんでいるのでしょうが。人混みに引きずられるように、わたしも仲間入りです。
下着売り場で、わたしの心をとらえたのが黒一色のスリップ、ブラジャー、パンティーです。少し値段ははったのですが、思い切って買いました。黒一色の下着なんて、前々から一度身につけたかったんですもの。
それを、レジの女の子ったら、不思議そうな顔でわたしを見るのです……センスのない子ね、本当の女のくせに……あとは化粧品を少しと食料品を一週間分ぐらい、ゴッソリ買いました。
夜はいつもその材料で、エプロン姿でお料理するのが楽しみなんです。でも、いくらごちそうを作っても、ステキな下着姿になっても、観賞してくれる人がいないのは寂しいものね。早くステキな人がいないものかしら。〈小川麻美〉
出所 『風俗奇譚』昭和49年7月号
>エプロン姿でお料理するのが楽しみなんです。
こうした何気ない独身女性の日常を体験することが、麻美さんの喜びなんでしょうね。
この投稿の後、ステキな人は現れたでしょうか....。
お昼には終わり「さあ帰ろう」とビルを出ようとしたところ、ザァァァァァと土砂降り。
こりゃいかんと、ビルの喫茶室で雨宿りしていました。
これまで私たちが経験していた夕立とは異なります。
東京とマニラはこの夏、同じ温度といいますから、熱帯のスコールといった方がよいですね。
今日も『風俗奇譚』昭和49年4月号の「女装愛好者の部屋」からです。
昭和時代、JRは国鉄といって三公社五現業といって国営でありました。
その労働者はよくストライキを行っていました。
49年にもストがありました。
そのストで会社が休みとなった麻美さんは、思わぬ休日に女装ライフを楽しみました。
★わたしのある一日
非難攻撃されたゼネストも、時にとっては救いの神です。交通機関が全部ストップでは、そうでなくとも会社をサボリたいわたしには、絶好の口実です。
朝から浮き浮きした気分で、部屋のおそうじやら洗たくに精が出ます。アッ、いけない、わたしったら、昨夜のままのネグリジエ姿だもの。
‘
お風呂に入り、ゆっくりお化粧です。お天気がいいせいか、気分がいいせいか、今日はお化粧の仕上がりに満足して、さあ近くのマーケットにお買い物にでも出かけましょう。ドアを明けて廊下に出たとたん、隣の人とばったり顔が合いました。ハッと緊張するわたしと反対に、女姿のわたしに不思議そうな表情も一瞬で、すぐ笑顔を見せてくる。昨年、大学生になったばかりの童顔の残る坊やです。
線路沿いに歩きます。ストで電車の通らない線路を、子供が格好の遊び場にしています。若いアベックも温かい日ざしに楽しそう。とんだストの恵みです。
その風景を横目に見てマーケットに入り、驚きました。ここはストどころか、休日並みの混雑です。ストで行き場のない人がショッピングを楽しんでいるのでしょうが。人混みに引きずられるように、わたしも仲間入りです。
下着売り場で、わたしの心をとらえたのが黒一色のスリップ、ブラジャー、パンティーです。少し値段ははったのですが、思い切って買いました。黒一色の下着なんて、前々から一度身につけたかったんですもの。
それを、レジの女の子ったら、不思議そうな顔でわたしを見るのです……センスのない子ね、本当の女のくせに……あとは化粧品を少しと食料品を一週間分ぐらい、ゴッソリ買いました。
夜はいつもその材料で、エプロン姿でお料理するのが楽しみなんです。でも、いくらごちそうを作っても、ステキな下着姿になっても、観賞してくれる人がいないのは寂しいものね。早くステキな人がいないものかしら。〈小川麻美〉
出所 『風俗奇譚』昭和49年7月号
>エプロン姿でお料理するのが楽しみなんです。
こうした何気ない独身女性の日常を体験することが、麻美さんの喜びなんでしょうね。
この投稿の後、ステキな人は現れたでしょうか....。