常磐津の「お夏」がポピュラーですが、里の子役の子供達が集まらない時、一人立ちでお夏が踊れるようにと、父が振付けたのが清元「お夏」です。曲も後半を大幅にカットして、鯉男稽古場ならではの演出をしています。まさに鯉男追善にふさわしい演目です。ただ、里の子が出て盛り上げる(恋人と引き離され、正気を失い彷徨うお夏を里の子たちがからかうことでより一層の悲劇になります)効果がないので一人でそれを表現する事になり、難易度が増します。
踊り終わって踊り手の動きに合わせ、最後に「チョン」と入り、客席から「大当たり!」などと掛け声もあり、三味線が合い方となり幕が閉まります。終わった!と言う安堵感と、もう終わっちゃうのー詰まんないという感じと、あー気持ちいい、また踊りたーいと色々の思いです。
舞台中央のセリからの登場です。段々景色が見えてくる感じはセリに乗った者にしか分からない不思議なものです。ピンクの着物のMさんは入門一年の新人とは思えない堂々とした踊りで、当人もですがお母様が嬉しそうでしたし、黄緑の着物のMさんは、新婚のご主人が楽屋に挨拶にいらした折、嬉しそうに「惚れ直しました!」とこちらが聞いて無いのにおっしゃって「ホント?良かった」とMさん。ご夫婦円満でようございました。二人とも終わっているのにかなり長い事、衣装を脱がず堪能したようです。女の子だもの、綺麗になるって嬉しいですよね