小嶋つうしん(号外)

(元)大分県議会議員 小嶋秀行の徒然ブログ

本当に「中継ぎ」のつもりなのか

2007年10月01日 | 政治・経済
 福田氏が首相に就任して、数日間考えたであろう所信表明演説が、本日(10月1日)の衆参両議院本会議で行なわれました。
 仕事の都合もあって、その全部を聞いたわけではありませんが、これまでの首相による最初の所信表明演説とは、一味ちがう、つまり「塩気のない」演説に終始したというのが率直な印象でした。

 前首相の就任期間(一年間)で繰り返えされた強行採決は、なんと14回とも15回とも言われています。その背景には、衆議院の三分の二の議員数を擁していることが背景にあったことは述べるまでもありません。
 こうした前首相の国会運営に対し、先の参議院選挙で国民の批判が集まったことが、福田氏の頭の中にあるのでしょうか、野党との話し合い路線をいたるところ強調されており、これまでとは打って変わって「柔軟路線」を描き出そうとしているように見えました。

 ところが、おそらくこれが福田氏の命取りになりかねない。
 この所信表明演説を聴かれた国民、テレビで国会中継を見られた有権者には、福田氏が言わんとすることの中に、何も強い印象を持って受け止められるものがなかったと感じられた人が多数おられたのではないでしょうか。

 話し合うことは重要であるには違いありません。がしかし、いくら話し合っても同じ条件の下での話し合いではなくては意味がありませんし、この点、政府の持つ全ての情報を相手側(野党側)も同じように提供して話し合いをする覚悟があるのかどうか、それは疑わしい節があります。(例えば、テロ特措法などのように、給油回数や、相手側の所在など)
 結局、何も進まずに終わることになりかねないという危惧が先立ちますね。

 演説の中で並べた課題の数々は、確かに重要な課題であるには違いないわけですが、結果として一国の首相として選ばれたのですから、最初に自らが描く日本の将来像くらいは述べて欲しいと誰も思うでしょう。それがまったく伝わってきませんでした。その上、今最も重要な「危機管理」という点を含めて、現在の国民の置かれている現状が十分認識されているとは言いがたい内容に終始したという印象です。 

 もちろん、約25分間で自らの思いの全てを表明することは不可能ではあるものの、それでも期待するものがあまり感じられなかったのが、極めて残念でした。
 こうして考えると、本当に「ワンポイントリリーフ」のつもりでいるのでしょうか。
 しかし、それでは困ります。とりあえず政情が落ち着いたのですから、これから国民の見える前で、しっかり論議を展開していただかねばなりません。そして、我々の側からすれば「古い自民党」の体質そのものを引き継いだといわれている、現内閣の本質をしっかり露呈していただかねばなりませんから。

 テレビに映る福田首相の様子を見て、その立ち居振る舞いに少しばかり物足りなさを感じ、危なげなところを感じた有権者も多かったのではないでしょうか。ともかく、落ち着いて、国民のための国会論議を展開して欲しい。それを願わずにはおれません。