ミクロもマクロも

心理カウンセラーが気ままに書き続ける当たり前

そぞろ歩きの秋

2004-11-08 22:02:45 | Weblog
穏やかな、申し分のない秋の朝。空気はゆっくりゆっくりたゆたい、私達が動く
そこだけが、慌てて動く朝の新鮮なそれ。
マリリンと、今朝はゆっくりお散歩。
取り壊し途中で止まってしまった県営団地の廃屋廃墟。
エコノミック・アニマルと揶揄されて、
目を見張るほどの経済成長の中に出現した「団地サイズ」という新しい寸法に
仕切られた、日本に初めて誕生した「団地」と呼ばれた集合住宅の一つ。
イギリスの誰かさんが、それを「ウサギ小屋」と言ってくれた建物。

時代の寸法に合わなくなったのと、あまりな老朽化に、様々な声を吸収しながら
建て替えに、なったはずだったけれど、デフレ経済化に、にっちもさっちもいかない
地方自治体の懐具合で、誰もいない、荒れ放題の建物とその周辺が、何棟か。

そんな中に、太陽の当たり具合、角度で葉の色を微妙に変えている桜、イチョウの葉。
界隈に生活していた人々の、栄枯盛衰を見守ってきたであろうケヤキの巨木は、
わずかな風でも、狂ったように身を震わし木の葉を散らし、我が愛犬も一緒に狂喜乱舞。
南北に一線上に並んだ5本のイチョウの大木は、毎年、順番に黄色の葉に衣を替えて、
その美しさに、しばし足を止めて見とれるほど。もちろん、一番南に位置するその木が
「お先に~」って、真黄色の秋のドレスに衣替えよ。北の端の木は、まだ夏色の緑。

「~-^~!〇~=〇~~~」中国語。さっぱりわからないそれが、公園の片隅から
流れる。それに合わせて、太極拳を舞う数人のお婆ちゃん達。そう、あれは舞うという動き。
緩慢な動き。ゆっくりゆっくり手足を動かして。体操という感じじゃあないわ。
スローモーションフィルムを見ているような動き。
エアロビクスも、ヒップホップダンスも、西洋から渡ってくるものはスピードが命、
のような動きでしょう。そして、それが「カッコいい!」なのね。
ズンダダレたパンツをはいて、ダボダボシャツ、誰も彼もがスニーカー。

本場の太極拳は見たことがないけれど、映像では何回も見ている、もうお馴染み太極拳。
公園で行われているそれは、時々お散歩で遭遇するグループ。一人の高齢女性が先生みたい。
秋の静かな公園で、まだ疲れていない朝の空気が、ゆっくり流れる中で行われる太極拳は、
バタバタバタバタ追いかけられているようなこの国の、忙しげな日々に出会う、貴重な1枚の絵。

ことのほかゆっくりを心がけての歩き。
車も通らない、自転車の行き交いもない。遠くの保育園から園児の声が時折届く。
静謐まではいかないけれど、遠く見晴かす丹沢連峰の山々の色合いも、
夏より水蒸気が少なくなってきだした季節の中ある姿は、静けさの中に、遠くからでも
季節の移ろいを見ることができるのよ。

山茶花が垣根を飾り、枝もたわわに実をつけた柿ノ木は、鳥たちにも嬉しい秋の贈り物を。
様々な色・形の菊の花は、もう少し凛とした空気の方がお似合いね。吐く息が白く見え出
す頃の菊の花は、格段に美しい。
時々見かける千両の木は、お正月に向けて、葉っぱの上に乗った小さな実に、
もう、お正月の支度を促してきだしているのよ。薄っすら紅を引く練習を。


    ☆ 本日の言葉・・・団地サイズ、ウサギ小屋