東山紘久著 創元社 P175より引用
ISBN4-422-11257-0 1400円+税
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26 話には小道具がいる
大切な話をしようと思うときに、
何もなく、二人分の椅子だけが
置かれている部屋では、気づま
りで話などできたものではあり
ません。部屋が大きいと話をす
る雰囲気になりませんし、狭す
ぎると気づまりします。
話をするのは二人でも、部屋に
椅子が二つだけだと話がしにく
いのですが、それぞれの横にも
うひとつずつ椅子を置くだけで
雰囲気がずいぶん変わります。
私はそれを「遊び椅子」と呼ん
でいます。ふたりで話をするの
ですから、椅子は二つでいいの
ですが、この余分の二つの「遊
び椅子」があるのとないのでは
話せる雰囲気がまったく変わり
ます。(略)
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▼差し向かいでテーブルを挟ん
で向かい合うときに横に余分に
ひとつずつ椅子があると話がし
やすい。へーそんなことがある
んですね。全く気付かなかった
です。例えばドラマで刑事が取
り調べ室のシーンではテーブル
には電気スタンドがなぜかおい
てあって被疑者の顔を照らしてい
ます。夕陽のガンマンではあり
ませんが太陽を背負っているよ
うな配置です。そして刑事は自
白を迫ります。これって雰囲気
が悪すぎて話す気にもなれず、
有無を言わさず調書にサインと
いう筋書きが初めから出来てい
るのではないかと疑ってしまい
ます。まったく相手からは聞く
耳を持っていないようです。
ずいぶんと合理的な配置かもし
れません?
こめぞう