本日は「稲木」の話題だが、まずもって説明が必要だろう。大多数の方々にとっては、稲木とは?・・・・・との状態では無かろうか。稲作収穫の手法に関わるものだが、①コンバイン+機械乾燥、②バインダー+天日乾燥、に大別され昨今前者の①が主流なのだ。②の手法は余程の物好きかコンバインが使えぬ地域であろう。天日乾燥において稲穂を乾燥させるのが「ハザ掛け」という装置であり、此処で使われる丸太が稲木なのだ。多くは細身のヒノキの丸太を使用する。つまり稲木とは、稲穂を掛ける木の事である。
かっては我々も稲作に従事していた。諸事情あって稲作から撤退したのが10年程の昔だろうか。当時、稲作に使用した諸道具は今も野小屋に保存している。稲木もその種の一つであり、こちらはトタンを被せた状態で畦道の脇に野積みの状態だ。現在稲作に従事していないので道具類にも関心が薄く、放置状態となりがちなのはやむを得ないかと。
稲木も風雨にさらされ、強風時などトタンが吹き飛ばされる事例もあった。拾って被せてはいたが対処にまでは到らなかったのだ。長老は危機感を持ち、根本的な対策をと考えたのだろう。細身の丸木と鋸や鉈を持ちだし、何やら工作を始めた模様だ。遠目に眺めていたら、丸木の弱い部分を切り落としトタンが飛ばないように支柱として使用するみたいだ。
行動を見つめていて思わず赤面、どうして其処までの発想に到らなかったのかと。吹き飛んだトタンを拾って被せ・・・・確かに対症療法としては間違いでは無い。しかし同じ要因が発生すれば同じ結果を招くだろう。根本的な対策が必要だったのに思いは到らなかった。長老は流石に長老だ、ダテに年端を重ねた者では無い。
因果関係は原因があって結果が発生するもの。結果を断ち切ろうとすれば、原因を消滅させる必要がある。長老からの学びは大きかったようだ。寒空のなか、愚痴もこぼさず黙々として全体の利益を計っていく姿に感銘した1日であった。
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