武器はガチャ、そして(3)

2016-11-01 21:25:06 | SF小説
第三章 磁気嵐

国立天文台太陽観測所の太陽フレア望遠鏡で太陽に巨大なフレアが発生したのを観測し、その情報が科学推進省に寄せられた。
「フレアがこれだけ大きいと、地球への影響は避けられないなあ。」
と科学推進省の局長である山上久志がつぶやくと、科学推進省の技官である篠山徹も
「そうですね、影響は避けられないと思われますね。」
と懸念する口調で応えた。
それに呼応するように
「今年は太陽が11年周期の活動期にあたり、活発なフレアによる磁気嵐が予想されます。」と天気予報で報じられ た。
そして、直之の見ていたテレビにわずかなノイズが現れたので、翌日の朝食を食べている時に父親にノイズの事を話すと、両親も妹も気が付いていた。
「天気予報で言っていた磁気嵐の影響だな。」
と父親の新二郎が言った。

やがて、磁気嵐が地球を襲い、変電所のトランスが異常電流によって加熱し、火花を出してダウンした。そして、テレビの画像がノイズばかりとなり、放送の受信が不可能となった。また、携帯電話もつながらない地域が大幅に増加して、この現象がまる1日続いて生活に混乱がもたらされた。

このような影響は過去にも、1989年3月9日に発生した磁気嵐によって、カナダのハイドロ・ケベック電力公社の電力網で大規模な障害が発生し、九時間にわたって停電が発生したが、日本でも、2003年11月20日には、この磁気嵐の影響で1時間に渡り通信障害が発生し、日本の各地でオーロラが観測されていた。

名古屋大学太陽地球環境研究所によると、過去にも2001年10月21日の磁気嵐によって、北海道陸別町の太陽地球環境研究所陸別観測所(銀河の森天文台)でもオーロラが観測されたことがあった。
また、鹿児島工業高等専門学校宇宙天気情報センターの情報によると、2015年3月18日の午前3時頃に北海道でオーロラが観測されたのであった。