武器はガチャ、そして（１０）

第九章　消滅技術

科学推進省はあらゆる方面の科学者の参画を依頼し、地上のブラックホールの消滅方法を協議することとし、その論点は、
【二つのブラックホールがお互いの相手を呑み込み、同時に消滅する可能性は、両方が全く同じ質量であり、呑み込む時間も１億分の１秒の狂いも無いことが絶対条件であり、現実的ではない。それと、もし地上で消滅に失敗すると、それはブラックホールの成長に直結し、地球がブラックホールに呑み込まれる危険性がある。それは、人類の消滅となるので絶対許されない。】
であった。

そして、科学者たちの出したブラックホール消滅の手順は、

一、二つのブラックホールを密閉容器に格納したまま、それぞれ超電導のモーターで正回転と逆回転を加え、光速に近くなるまで回転させる

二、そして相反する極性の電荷を加えて超高速で衝突させる

三、その衝突の直前に高エネルギーのレーザー光線を密閉容器に照射し、そのエネルギーで密閉容器に穴を開け、容器の中のブラックホールが他の物質を呑み込みやすくする

四、これにより、お互いに逆回転している二つのブラックホールは引き裂かれて、合体することなく消滅する

この方法は、全ての抵抗が無い宇宙空間で実行することが必要であり、そうすることにより、地上より高速回転が得られ、光速に近い回転速度が実現される。
それと、宇宙空間で実行するのは、万が一の失敗により、ブラックホールの成長で地球が呑み込まれることを回避しなければならないとした絶対条件と一致する。