霧のおじいさん(1)

2017-06-05 21:27:12 | 童話
霧の朝は不思議だ。
霧の中を歩いていると、ふんわりと浮かび上がりそうな感じがするのだ。

僕が学校へ歩いて行っている時に右側のクツが脱げた。あれっ、足の裏に何も当たらない。
今度は左側のクツが脱げたが、やっぱり足の裏に何も当たらないで、ふわふわとしている。

『早く起きないと、学校に遅刻するわよ。』
とお母さんに起こされた。
『ああっ、夢か。』
僕は急いで歯を磨き、顔を洗って朝ご飯を食べた。
そして、僕が学校へ歩いて行っている時に右側のクツが脱げた。
あれっ、足の裏に何も当たらない。今度は左側のクツが脱げたが、やっぱり足の裏に何も当たらないで、ふわふわとして、夢と同じようになった。

学校に着いて、僕は友達にふわふわとしていた話をすると、友達も同じようにふわふわとしていたと言った。
学校から帰る時間には霧は無かったので、ふわふわとはしなかった。
そして、何日間か霧は出なかったので、ふわふわする感じは忘れかけていた。

ある日の朝に霧が出た。僕が学校へ歩いて行っている時に、また右側のクツが脱げた。
あれっ、足の裏に何も当たらない。
今度は左側のクツが脱げたが、やっぱり足の裏に何も当たらないで、ふわふわとしている。
『早く起きないと、学校に遅刻するわよ。』
と、またお母さんに起こされた。
『ああっ、今度も夢か。』
僕は急いで歯を磨き、顔を洗って朝ご飯を食べた。
そして、僕が学校へ歩いて行っている時に、また右側のクツが脱げた。
あれっ、足の裏に何も当たらない。
今度は左側のクツが脱げたが、足の裏に何も当たらないで、ふわふわとして、前と同じようになった。
一緒に歩いている友達も同じようにふわふわするねと言った。

その時『ハクショ~ン。』と大きなクシャミが聞こえた。友達のクシャミではない、だれのクシャミだろうか?
その時
『ごめんごめん、びっくりしたかい?』
と大きな声が聞こえた。だけれど、近くには誰もいない。
『ここだよ。』
と聞こえる上の方を見ると、白いヒゲを生やしたおじいさんの大きな顔が有った。