犬の社長(2)

2017-01-26 21:51:51 | 童話
その夜の夢の中で、ペットショップの前で荷物を下ろしていた運転手さんが
『昼間は荷物が一杯で大変だったよ。』
と話しかけてきました。

その時、犬の社長がその運転手さんに
『お疲れ様でした。』
と言いました。
そして、僕も
『お疲れ様でした。』
と言いました。

その夜も、僕はトラックで配達が終わった朝に目がさめました。
そして、犬を連れて散歩している時に、また、あの運転手さんに会いました。
『君はもう配達が終わったのかい? 私はまだ荷物が一杯で終わっていないんだ。』
と言ったので、僕は、あの人はまた夢の中で荷物を運ぶのが終わらなかったんだね、と思いました。

何日かして、夢の中で犬の社長がみんなを集めた会議をしました。
犬の社長は
『みんなが頑張ってくれたので、たくさん売れました、ありがとう。』
と言ったので、みんなは、パチパチパチパチと拍手をしました。
僕は、その拍手の音で目がさめました。

僕が犬に
『たくさん売れて良かったね。』
と言うと、犬は
『ありがとう。』
と言いました。

そして、昼間は僕が犬を散歩に連れて行き、夜は僕が犬の社長の代わりにトラックで荷物を配達するのを続けています。
 
おしまい

犬の社長(1)

2017-01-25 21:28:58 | 童話
僕の飼っている犬は、夜になると社長になります。
犬や猫用の、食べ物や家を売っている会社の社長です。
ここは僕の夢の中の、夜だけの会社です。

僕はこの会社で配達をしています。
大きなトラックを運転して、荷台いっぱいの食べ物や家を配達します。
トラックはたくさん有って、僕以外にもトラックを運転している人がたくさんいます。

犬の社長は、出来上がった食べ物を食べて、おいしいかどうか調べます。
それと、家は寝心地が良いかどうかを自分で寝て確かめます。
特に猫用の家は、寒がりの猫が温かく寝られるかどうかも調べます。
そして、犬の社長がOKを出した物だけをトラックで配達します。

その夜も、僕はトラックで配達が終わった朝に目がさめました。
僕は毎朝、犬を連れて散歩に行きます。
散歩の時に、僕の犬は向うから来た犬や猫とお話しをします。

食べ物や家の話をしているのかなあ?
みんなの意見を聞いているのかなあ?

散歩している時にペットショップの前でトラックが止まって、荷物を下ろしていました。
その荷物を下ろしている人は、夢の中で一緒にトラックを運転している人です。

『君はもう配達が終わったのかい? 私はまだ荷物が一杯で終わっていないんだ。』
僕は、もう夢の中ではないのにおかしいなぁと思いました。
すると、僕の犬が
『あの人は夢の中で荷物を運ぶのが終わらなかったんだよ。』
と言いました。

ドッコイショ(3)

2017-01-24 21:17:18 | 童話
これから、おじいちゃんと一緒の時は、おじいちゃんとドッコイショとヨイショと言う競争をしようと思いました。

だけれど、僕が中学生になった時におじいちゃんとドッコイショとヨイショの競争ができなくなりました。

僕は時々、おじいちゃんのいる空に向って大きい声で『ドッコイショ』、『ヨイショ』と言っています。

いつかおじいちゃんが高い空から、僕と競争するみたいに、もっともっと大きな声で『ドッコイショ』、『ヨイショ』と言ってくれると思っています。

おじいちゃんのドッコイショやヨイショが聞こえるのはいつなのかなぁ。

おしまい

ドッコイショ(2)

2017-01-23 21:06:59 | 童話
だけれど、お父さんもお母さんもおばあちゃんもドッコイショやヨイショとは言いません。
どうして、おじいちゃんだけがドッコイショやヨイショと言うのかなぁ?

ある日、おじいちゃんが
『なんでおじいちゃんだけが、ドッコイショやヨイショと言うのかだって? それはね、おじいちゃんだけがドッコイショやヨイショと言っても良い年だからだよ。』
と教えてくれました。

『ねぇおじいちゃん、ドッコイショやヨイショと言っても良いのは何才からなの?』
『決まりは無いけれど、おじいちゃんの年から良いんだよ。』
『ふぅ~ん。』
『ねぇおじいちゃん、僕もドッコイショやヨイショと言っても良いのかなぁ。』
『ああ、おじいちゃんと一緒の時だけドッコイショやヨイショと言って良いよ。』
『わぁ、うれしいなぁ。』
『だけれど、おじいちゃんと一緒ではない時は、ドッコイショもヨイショも言ってはいけないよ。』
『うん、わかったよ。』

僕はおじいちゃんから、おじいちゃんと一緒の時は、ドッコイショやヨイショと言っても良いと言ってくれたのでうれしかったです。

ドッコイショ(1)

2017-01-22 11:59:58 | 童話
僕のおじいちゃんはおもしろいおじいちゃんです。
座っていて立ち上がる時に『ドッコイショ』と言いますが、座る時も『ドッコイショ』と言います。

僕はおじいちゃんに
『なんでドッコイショと言うの?』
と聞きましたが、
『ドッコイショは、ドッコイショだからドッコイショなんだよ。』
と言いました。

だけれど、座っていて立ち上がる時に『ヨイショ』と言う時があります。
その時は、座る時も『ヨイショ』と言います。

僕はおじいちゃんに
『なんでヨイショと言うの?』
と聞きましたが、
『ヨイショは、ヨイショだからヨイショなんだよ。』
と言いました。

ドッコイショとヨイショはどう違うのか分かりません。

ある日、おじいちゃんが
『みんなが居る場所で立ち上がる時は、みんなに「これから立ち上がるよ。」
と言うためにドッコイショと言うんだよ。
だから、座る時もドッコイショなんだよ、でも、誰も居ない時は自分のためにヨイショと言うんだよ。』
と教えてくれました。
『ふぅ~ん、そうなんだ。』

僕は、ドッコイショとヨイショは違うんだと分かりました。