元旦の朝刊にこんな記事が載るということは、大みそかや元旦にこういうことをシレっと言っちゃう人がいるのでしょうか。
それとも、前々からマスコミにリークしていたのを、元旦に新聞がわざわざ掲載するのか。
毎日新聞が、2016年1月1日に以下の二つ記事を掲載しました。
これらの記事によると、安倍政権の幹部が
「首相の描く改憲構想を明らかにした」
というのです。
ちなみに、最近のマスコミ用語で政権幹部というと、普通は菅官房長官のことですがどうなんでしょうか。
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そして、菅官房長官(仮)によると、
「安倍政権は、大規模災害を想定した「緊急事態条項」の追加を憲法改正の出発点にする方針を固めた」
「首相は在任中に9条を改正できるとは考えていない」
「首相は自身が繰り返し述べてきた「国民の理解」を得やすい分野から改憲に着手する」
というのです。
9条を改正できるとは考えていない、というあたりが罠っぽく、かえって谷垣幹事長らではなく菅官房長官(仮)が言っていそうで、この記事には信ぴょう性があると思うのですがどうですか。
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そして、菅官房長官(仮)は
「安倍晋三首相は今年夏の参院選の結果、参院で改憲勢力の議席が3分の2を超えることを前提に、2018年9月までの任期中に改憲の実現を目指す」
「最初の改憲は少なくとも野党第1党の民主党が合意し、国民投票で確実に過半数を得られる項目から始めるべきだ」
というのです。
国民の理解が得られやすいとか、民主党が合意するとか、両者ともなめられたものですが、実際、東日本大震災を実際に体験したため、大災害の際に内閣総理大臣に緊急大権を与えるという緊急事態条項は、野党も国民も反対しにくいとみられています。
実際、 緊急事態条項は大災害発生時や有事の首相の権限強化、国会議員の任期延長などを定めるものですが、2014年11月の衆院憲法審査会では、共産党を除く与野党7党が憲法に緊急事態条項を書き込むこと自体については、大筋で賛成しています。
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そこで、安倍晋三首相は2015年11月11日の参院予算委員会で、憲法改正による緊急事態条項の創設について
「国民の安全を守るため、国家、国民がどのような役割を果たしていくべきかを憲法に位置づけることは極めて重く、大切な課題だ」
と述べ、重視する考えを示しました。
でもですね、自民党の改憲草案に規定された緊急事態条項って、第99条第1項で内閣が国会の法律と同じ効力のある緊急政令が作れることになっていたり、基本的人権の制限が明記されていて、超危険です。
第99条第3項
緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。
このあとに、この場合においても基本的人権は最大限尊重しなければならないという規定はくっついているのですが、何人も国などの指示に従わないといけなくなることの反面、必ず人権を制限するからこそそういう規定がついているわけですし、最大限尊重だなんて屁のツッパリにもなりません。
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また、どういう場合に、総理大臣が緊急事態宣言を出せるかというのがあいまいです。
第98条第1項
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
ということで、戦争、内乱などの混乱、大規模災害、その他、ということになっています。
実際、新型インフルエンザの感染者が複数見つかったというだけでも、「社会秩序の混乱」ないし「その他」ということで、緊急事態宣言を出そうということも言われています。
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こうなると、時の政権の都合によって、どんな口実をもって緊急事態宣言が出され、国民の人権が制限されるかわからなくなります。
大震災の記憶も新しい今、総理に権限を集中することが必要だというのはもっともらしい話ですが、大災害の対策のための法整備は済んでおり、憲法に緊急事態条項など規定することは不要で、ただただ人権侵害の危険ばかりが高くなることが知られています。
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それにしても、共産党以外の野党がこぞってこんな憲法の改悪に賛成しているというのは情けないこと。
最初の改憲が最悪の改憲だったということにならないように、踏みとどまるべきは、国民投票権を持っている我々。
そして、これ以上アホなことを言わないように、野党を制御=叱っていかないといけません。
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関連記事
参照
自民党改憲草案
第九章 緊急事態
第98条(緊急事態の宣言)
1 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
4 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。
第99条(緊急事態の宣言の効果)
1 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
良い国家や社会を創るために、良い憲法を創ること。それは、すなわち新憲法を制定したり、改憲することではない。憲法の原理を理解した上で、想像力を駆使して我々の「頭の中」に理想のルールを創造することなのである
テレビや新聞などのメディアには様々な限界がある。メディアには、憲法問題以外にも山ほど扱うべき事柄があり、どうしてもテレビでは伝えられない話がある。
安直な改憲論議に踊らされるのではなく、憲法に対するリテラシーを高め、情報の取捨選択を読者自ら行えるようにならなければならない。
冷戦後の平和と安全保障をめぐる状況の中で、日本国憲法の平和主義はいかなる意義を持っているのか。有事法制や新ガイドライン等の「新たな軍拡」の動きを分析・批判しつつ、「平和の憲法構想」を提示する。
「首相の答弁」「安保法制懇報告書」「7月1日閣議決定」「政府の15事例」等と、豊富なデータとを照合することで見えてくる矛盾を指摘する!国会議員の質疑にも使われた資料がついに書籍化。トピックごとに読みやすく、視覚的にも理解しやすい、早大で人気の白熱教室です!
こういう記事の意図の見極めが難しいんですが、この高橋克哉という政治部記者の署名記事がこれなんです。
憲法「改正」問題をずっと追っているみたいで、おかしな記事を書く人ではないと思います。
2016年1月1日、新聞のテレビ欄を見た人々から、「スゴイ!」の声。その理由は…。
拡大してみましょう。
「新たな一年が幸せで健やかな年になりますように」
見つけた人々からはほかに、「おめでたい!」「素敵」「うまい」という声が上がっていました。
小さな幸せを一つ一つ大事に、素敵な一年へと積み上げていきたいですね。